生活保護費の減額処分取り消し訴訟、原告9人の訴え棄却 大津地裁

大津地裁

 国が生活保護費の基準額を引き下げたのは生存権を保障した憲法に反するとして、大津市の30~80代の受給者9人が国と市を相手に減額処分の取り消しと1人1万円の慰謝料を求めた訴訟の判決で、大津地裁は13日、原告の訴えを棄却した。

 「いのちのとりで裁判」と呼ばれる同様の訴訟は29都道府県で起こされ、19件目の判決。これまで9地裁が処分の取り消しを命じ、昨年5月の熊本地裁判決以降は、9地裁中8地裁が原告勝訴の判断を示していた。

 厚生労働省は5年に1度、生活保護基準額の水準について、制度を利用していない低所得世帯の消費実態と均衡しているかを検証。2013年8月からの3年間で基準額を平均6.5%、最大10%引き下げる改定を行い、計約670億円を削減した。受給世帯の96%、200万人超が引き下げ対象となった。

 全国29都道府県の約900人が処分取り消しを求めて提訴。大津地裁では14年10月と17年9月、大津、草津、守山の3市の受給者13人が提訴したが、4人がすでに亡くなっている。

 原告側は、国が改定の根拠としたデータや物価変動の算定方法が恣意的と訴え、リーマン・ショックが起きた08年を基準としたことも「物価下落を過大に算出する意図があった」と主張していた。

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