男子ツアー初のプロデビュー戦Vへ 宇喜多飛翔が首位発進

レギュラーツアーのプロデビュー戦Vへ(撮影/中野義昌)

◇国内男子◇関西オープン初日(13日)◇泉ヶ丘カントリークラブ(大阪)◇7051yd(パー71)

松山英樹も石川遼もなし得なかったレギュラーツアーのプロデビュー戦優勝。記録の夢が膨らむ首位発進を決め、宇喜多飛翔(つばさ)は他人事のように笑った。

関西の大学ゴルフ界の強豪・大阪学院大の4年生は「う~ん、できることだけやって、それがついてくればって感じです」。飄々(ひょうひょう)とした風情には力みがない。

昨年、日本学生で優勝。サードQTからの受験資格を得て、在学中のプロ転向を決めた。1年先輩の平田憲聖と同じルートだった。「20歳になって、それまで全然なかった体の痛みが出るようになった。そこはケアしないと」。気になったのは腰、背中。長いプロ生活を見据え、地元・岡山で少年時代から通う整骨院を頼り、体調管理最優先でプロ1年目を迎えた。

7日終了のプロ初戦、下部ABEMAツアー「Novil Cup」は32位。ショットはいいのに、パットに苦しんだ。世話になっているメーカーのクラブ担当者が言った。「パター、替えたら?」。約6年間使い続けていたのは大きな“ツノ型ヘッド”。慣性モーメントに優れ、安定したストロークをかなえてくれる。反面、自ら“細工”をしにくい。「僕は手先を使うタイプ。アプローチじゃないけど、その感覚というか」。今週、新たに手にしたのはL字マレットだった。

感性の伝わるL字マレットで(撮影/中野義昌)

前半インで6バーディを量産した。13番のベタピン、17番のチップインを除く4バーディは3mから7mの長さを決めた。微妙なフェースの開閉やタッチを駆使し、感性を反映したパッティングが決まった。「いいゴルフができました」と満足そうだ。

レギュラーツアーのプロデビュー戦Vなら最高だが、少しでも上位で終わりたい。昨年のQTはファイナルに進み、3位で迎えた最終日に「77」をたたいて31位。ツアー前半戦の出場は厳しくなり、実際、2週前の開幕戦「東建ホームメイトカップ」の出場も逃した。

「次、いつレギュラーに出られるかわからない。(ツアー出場優先順位を再決定する)リランキングもあるし」。地元・岡山が備前の国だった頃、戦国大名で名を馳せた宇喜多直家、豊臣家五大老だった宇喜多秀家と「家系図では途中までつながっているらしい」と笑うルーキーが、ゴルフ界での下剋上を狙う。(大阪府堺市/加藤裕一)

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