その保険不要かも。結婚・出産・定年退職…ライフイベント別に保険を見直すポイントをFPが解説

よく「保険はライフイベントごとに見直しましょう」と言われます。「見直し=加入し直す」と考えられがちです。これはある意味正しくもあり、誤りでもあります。見直すことは決して加入し直すことばかりではなく、加入中の保険が、ライフスタイルに合っているかどうかを見極めることが大切です。

今回は、ライフイベントに対し適切な保険に加入しているか、その見極めるポイントについて解説いたします。


ライフイベントとは、どのようなイベントがある?

ライフイベントは次のようなケースが考えられます。

10~20代:就職

20代~:結婚・子どもが生まれる

30代~:住宅購入

40代、50代~:子どもの独立後

60代~:定年退職を迎えたとき

そのほか、転職をしたときや独立したとき、海外に赴任したときなどさまざまなケースが考えられます。

ライフイベントごとに保険を見直す理由

ライフイベントごとに、なぜ保険を見直す必要があるのでしょうか。それはさまざまなライフイベントには、掛かるお金が変わり、経済的な不安要素が大きく変わるタイミングだからです。

たとえば子どもが生まれたときには教育費の準備が必要ですが、自身に万一のことが起こり、その準備ができなくなってしまった場合に、補てんできるのはまさに保険です。しかしその後、子どもが独立すると、その保険も必要なくなるため、保険を解約する必要があります。このように、ライフイベントごとに保険を見直していきます。

10~20代:就職を迎えるときに考える保険は?

「働き始めたし、そろそろ保険を考えよう」と、人生で初めて保険加入する人も多い頃ですが、一体どんな保険に加入したらよいのか、最もわかりにくい時期かもしれません。若いので病気になるリスクも少なく、ましてや死亡リスクも考えにくいはずです。

しかしリスクが少ないということは、保険料も安いということです。そのためこの時期に加入するのに適しているのは、一生涯持ち続けることができる保険です。

たとえば終身型の死亡保障などのいわゆるお葬式代を目的とした保険です。このころから加入するには早すぎるのではないかと思われるでしょう。しかし保障の大きさに対して、若いので保険料がリーズナブルですので、貯蓄のつもりでもっておくのも一手です。

20代:結婚・子どもが生まれるときに備える保険は?

女性の場合、出産のリスクがあります。あまりにも辛いつわりをずっと我慢していたという人も少なくはありません。つわりも悪阻という病気としてみなされるので、入院した時に医療保険から保障が下ります。

また切迫早産で入院を3~4か月する必要があったというケースも見受けられます。その時には医療保険も60日型ではなく120型と長い日数を保障する保険に加入しておくと安心です。

さらに前述のとおり、教育費と遺族の生活費の対策が必要です。子どもが独立するまででよいので、死亡保障でも期間の決まっている定期保険に加入します。今は保険料を安く抑えることができる逓減型(ていげんがた:保険期間の経過とともに保険金額が減っていく保険)の定期保険に加入する人も多いです。とくに共働きの場合は男女問わず、備えておきましょう。

30代:住宅購入したときのチェックポイント

賃貸から持ち家にした場合、住宅ローンを組むときに、団体信用保険に加入します。団体信用生命保険は、住宅ローンの加入者が亡くなった際、そのローンをすべて補てんしてくれる保険です。

さらに上記で加入した定期保険の保障額をチェックします。家賃よりも持ち家に掛かる費用は少なくなるはずです。その分の保障額を減らすことができます。

また火災保険の加入も必要です。実際、火災になることは少なくとも、地震の被害に遭うことは大いに考えらえます。地震保険は火災保険に加入していないと、付帯することができません。きちんと備えておくことが大切です。

40~50代:子どもが独立したとき

子どもが独立すると、20代で結婚・子どもが生まれるときに加入した、教育費に備えるための死亡保障が継続している場合、不要となるため解約します。

またこのころから老後の備えも考えておきたいところです。自分たちが介護状態になってしまった時など、子どもになるべく負担を掛けない準備をしておきましょう。

60代~:定年退職を迎えたとき

セカンドライフをどう過ごしていくかを考えます。嘱託社員として継続して会社に残るのか、完全に退職し、年金生活を送るのか、新たにビジネスを始めるか、人によってさまざまです。

考えを実現していくためにお金が必要です。退職金と、今までの貯蓄と、老齢年金の受給額を加え、これから掛かる支出分を差し引きし、計算していきます。ここでキャッシュフロー表を作成し考えていくと、金額が明確になります。

この時期に、新たに生命保険に加入することはあまりお勧めできません。保険はリスクが高くなると保険料も上がります。健康状態が良くないと、引受緩和型といい、従来の保険では保険加入できない人も入りやすくなる保険があります。しかし保険料も当然上がりますので、無理に保険で備えようとするのは得策ではありません。

むしろ健康状態や年齢を問わない、つみたてNISAなどの非課税口座を利用して、5年でも10年でも将来への積立を行うことにより、高い保険料を払い、掛け捨てていくよりも、資金準備できます。

以上、ライフイベントごとに保険を見直すポイントについてみてきました。保険に新たに加入する場面もあれば、解約が必要だったり、保険以外の手立てを考えたりすることもときには必要です。適した保険を準備し、安心した生活を送っていただきたいと思います。

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