鮮やか、あふれる生命力 猪熊弦一郎展15日開幕 茨城県近代美術館

カラフルな「金環食」(手前)などが並ぶ展示会場=水戸市千波町

鮮やかで生命力あふれる作品で知られる画家、猪熊弦一郎の生涯を紹介する企画展「猪熊弦一郎展『いのくまさん』」が15日、水戸市千波町の茨城県近代美術館で開幕する。詩人、谷川俊太郎の軽妙な文章と猪熊作品とがコラボした絵本「いのくまさん」の世界観を再現する内容で、ページをめくるように楽しいメッセージが伝わってくる。

猪熊は1902年香川県生まれ。東京美術学校(現東京芸術大)で油彩画を学び、東京、パリ、ニューヨーク、ハワイと拠点を移し、マティスやピカソなど海外の芸術家と交流した。

絵本「いのくまさん」は、猪熊没後の2006年に発刊。谷川俊太郎が「ねこもすき」「いろもすき」といったやさしい言葉を添え、子どもにも分かりやすい内容だ。

展示は、少年時代のスケッチから青年期の自画像、たくさんの人の顔、トリ、ネコなど、具象、抽象織り交ぜた絵画が中心。百貨店三越の包装紙のデザインや表紙絵、JR上野駅の壁画なども紹介し、多彩な127作品が並ぶ。いずれも丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川県)の所蔵品。

14日に開かれた内覧会で、同館首席学芸員の山口和子さんは「猪熊の作品は抽象的であっても、楽しいというイメージを呼び覚ます。深く考えず楽しんでほしい」と話した。6月25日まで。午前9時30分から午後5時。月曜休館(5月1日は開館)。

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