長崎IR 継続審査認定判断時期未定 開業ずれ込みも

 斉藤鉄夫国土交通相は14日の閣議後の記者会見で、長崎県が佐世保市のハウステンボス(HTB)への誘致を目指し提出した「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)」の整備計画について、継続審査とすることを明らかにした。総額4383億円に上る事業資金調達の確実性に不安が残るためとみられる。今後の認定判断時期は未定。県が目標とする2027年秋ごろの開業がずれ込む可能性が出てきた。
 一方、大阪府・市が提出した整備計画は認定。政府によるIR計画の認定は初めて。IR整備法は最大3カ所まで整備できると規定しているが、昨年4月、国に計画認定を申請したのは本県と大阪府・市の2カ所にとどまった。国交省の有識者委員会が審査していた。
 斉藤国交相は会見で、本県の計画を継続審査とした理由について「審査中」として明らかにせず、「審査委員会で期限を設けることなく丁寧かつ十分な審査をしている。(今後の)認定(判断)の時期については申し上げられない」とした。大石賢吾知事は県庁で開いた会見で「認定されるチャンスはまだ十分にある。IR誘致は県政の重要課題。早期に認定を得られるよう取り組みたい」と述べた。
 県は21年8月、オーストリア国有企業関連の事業者グループ「カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン」(CAIJ)をIR設置運営事業予定者に選定。計画が認定されれば、CAIJなどが出資する特定目的会社(SPC)「KYUSHUリゾーツジャパン」が整備・運営の主体となる。
 計画によると、資金調達総額のうち1753億円は出資金で、残り2630億円は金融機関からの融資で賄う。県は、SPCが出資企業や金融機関から計5千億円超のコミットメントレター(出資・融資の意思表明書)などを集めているとするが、企業名、金融機関名は公表していない。
 また資金調達の協力先に外資系の金融機関や投資ファンドなどが多い上、その一つの欧州金融大手クレディ・スイスが経営危機で他行による買収が決まったため、資金面の不安が指摘されていた。県の担当者は会見で「クレディ・スイスについて観光庁から問い合わせはあったが、(買収元にIR計画が引き継がれ資金調達に問題はないと同庁に伝えるなど)速やかに対応した。この件が継続審査の理由になっているとは思わない」と話した。

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