不登校対応で校内の別室に支援員 オンブズながさき報告動画

学校内「別室」への支援員派遣事業について対話形式で報告する古豊さん(左、ユーチューブから)

 NPO法人「子どもの権利オンブズパーソンながさき」(古豊慶彦代表)は、さまざまな理由で教室に行くことが難しい児童生徒が利用する学校内「別室」に支援員を派遣する事業の2022年度の活動報告を同団体のユーチューブチャンネルに動画で公開した。古豊代表は「不登校だけではなく全ての子どもに必要と感じた」と話している。本年度も継続し、支援対象校を増やす予定。
 オンブズながさきは、子どもの命と権利が大切にされる地域を目指し活動する民間の第三者機関。事業は不登校傾向の子どもらの教室以外の居場所を校内に確保し、教員の負担を軽減する目的で21年度に始めた。独立行政法人福祉医療機構の助成金を活用し、長崎市立の小中学校各1校に週2回、研修を受けた計6人を派遣した。
 動画は約1時間15分。前半はスライドを使って活動内容などを報告。続いて古豊代表が質問に答えた。国の不登校支援の変遷も紹介している。
 22年度は、利用者が小学校で前年度より約3倍増。実施した58日で延べ194人と関わった。別室に児童がいないときに支援員が校内を巡回したりしたことで団体の認知度が上がり、子どもと関わる機会が増えたという。中学校は58日で延べ208人が利用。長崎大を生徒と一緒に見学する課外活動もした。
 教員からは「(支援員が)学校関係者ではないことで、生徒が身構えず気楽に通室できる」「別室で気分転換を図り、教室に戻ることができたりした」などと肯定的な感想が寄せられたという。
 古豊代表は「別室や支援員の存在が子どもの意思を尊重できる環境に近づく」と必要性を強調。同様の視点での事業の広がりを期待する。一方で、学校ごとに別室の運営方法などが違うことを指摘し「行政が別室の在り方を示し、制度として安定した仕組みをつくってほしい」と求めた。
 4月末に同団体ホームページに、報告書と校内別室支援ガイドを掲載する。

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