死滅生物を悼み諫早湾干潟跡で慰霊祭 潮受け堤防閉め切り26年

手を合わせて追悼する沖牟田さん(右から2人目)ら=諫早市白浜町

 国営諫早湾干拓事業で湾奥部が全長約7キロの潮受け堤防で閉め切られて26年となった14日、開門を求める市民らが長崎県諫早市白浜町の干潟跡で慰霊祭を営んだ。閉め切り時刻の午前11時半に合わせて鐘を打ち鳴らし、死滅した干潟生物や開門を訴えながら亡くなった漁業者、関係者を悼んだ。
 慰霊祭は閉め切り翌年の1998年から福岡県の環境保護団体が開いてきた。近年は同県大牟田市の自営業、沖牟田龍雄さん(77)が代表の遺志を継ぎ、個人で続けている。今年は県外から3人が集まり、漁業者らの大規模な海上抗議デモの様子などを振り返るパネルや焼香台を設置。手を合わせ、開門による海の再生を願った。
 同事業を巡っては、閉め切りと漁業被害との因果関係を訴えた第1陣開門訴訟で最高裁が2019年、漁業者の上告を棄却したのに続き、開門を命じた10年の確定判決の執行力排除を国が求めた請求異議訴訟でも最高裁は今年3月、漁業者の上告を退けた。沖牟田さんは「開門命令に従わなかった国の姿勢はおかしい。開門すれば閉め切りで破壊された自然の回復につながる。多くの人が関心を持ってほしい」と話した。

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