日本茶普及の歴史に長崎あり 「抹茶革命と長崎」出版 前田園USAの社長

田上富久市長に「抹茶革命と長崎」を寄贈する前田社長(左)=長崎市役所

 日本茶や抹茶関連商品の輸出販売を手がける「前田園USA」(米国)の前田拓社長(66)=長崎市出身=が、日本茶の普及に長崎が果たした歴史的な役割をひもといた「抹茶革命と長崎」(長崎文献社)を出版した。発刊は、幕末に茶貿易の先駆けだった長崎の大浦慶の命日に当たる13日。
 前田社長は1980年代に渡米し同社を設立。世界約40カ国に販路を広げ、「日本茶カフェ」も展開する。抹茶アイスクリームや抹茶ラテなどが世界的ブームになった立役者の一人。
 同書は、長崎の古写真に詳しい長崎外国語大の姫野順一学長が監修。大浦慶の功績をはじめ、シーボルトや黄檗(おうばく)文化など多分野の専門家18人が論考を展開している。米国議会図書館が所蔵する1900年ごろに撮影された日本の茶摘みや製茶の様子など、貴重な古写真も掲載している。
 前田社長は▽9世紀の中国からのお茶の日本伝来▽13世紀の抹茶の原型誕生▽17世紀の煎茶の登場による普及-を挙げ、日本茶文化に革新をもたらした「400年周期説」を提唱。21世紀の今、次の世代が世界に日本茶文化を定着させるチャレンジをすることに期待を寄せている。
 13日、県教委と長崎市役所を訪れ、同書を寄贈。「読んだ方が郷土を誇りに思い、若者がグローバルに長崎発で考えられるよう、少しでもお役に立てれば」と話した。
 市内主要書店などで販売。B5判、2640円。問い合わせは長崎文献社(電095.823.5247)。

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