「5年前は普通に買えた」転売横行のポケモンカード、ユーザーから嘆きの声「私たちは普通にプレイがしたい」

ポケモンカードゲーム(ポケカ)の新拡張パック「スノーハザード」「クレイバースト」が14日に発売され、早朝から販売店舗に長蛇の列が形成されるなど、人気の加熱っぷりが話題となった。転売目的で購入する人もいることから争奪戦必至の〝ポケカ戦争〟といえる現状に「私たちは普通にプレイがしたい」と嘆いたユーザーのツイートが注目を集めている。

投稿したのは5年前からポケカをプレイしているという、ふなきっち(@Fd3DRIfliQyt9GM)さん。添付した写真で、パックが店内にたくさん並んでいる5年前と、抽選販売の案内が貼られた最近の売り場を比較した。ツイートには「5年前天国や」「もう戻らないだろうね」「いつから狂ったんだろう」と当時を懐かしむ人たちの声が寄せられた。

ふなきっちさんは「5年前は普通に買えてました」と現状の異常さを語る。販売店の様子は今よりも穏やかで、事前抽選もなく、誰でも簡単に商品を手に入れることができたという。発売日の翌日でも在庫があることは珍しくなかった。一方で、今回の新商品は事前抽選に全て落選。発売日当日は車で5店舗を回って買い求めた。ある程度、デッキに必要な目当てのカードは引き当てることができたが「早く再販があれば」と願っている。

異変が起こったのはいつごろか。ふなきっちさんは、500円ですぐに対戦ができる初心者用の「スタートデッキ」の販売(2018年)を1つのきっかけに人気に火がついたと話す。また、同時期から人気ユーチューバーらがポケカ関連の動画を投稿。ふなきっちさんも「はじめしゃちょー」の動画をきっかけにポケカに興味を持ったように、影響力は大きかった。

ユーザーの増加に伴い、コレクターも増えた。ポケカでは有名なイラストレーターによるデザインのレアカード(SR、UR、HR、SAR。SARが最高レア)が人気だ。これらのカードは高い値段で取引され、中には100万円を超えるものもあったという。もちろん手に入れるのは簡単ではないが、1ボックス(30パック)ごと、いわゆる”箱買い”をすると最低1枚SR以上が封入される。ここに”転売ヤー”が注目した。「箱1つ買えばお金になる→箱を売ればお金になるといった考え方が出てきたのかなと思います」。続けて「大手ユーチューバーが『このポケモンカードを売ったら何円になるか検証』といった動画で、売ったお金でご飯を食べるみたいなこともやっています。それの影響もあると思います」と推測した。

14日、ツイッターでは各地販売店で怒号、乱闘など混乱の様子が報告された。現状について、ふなきっちさんは「正直言って危ないです。これ以前にも殴られ案件、また強盗、詐欺案件が多発しています。ポケカはもう遊ぶものではなくなってしまった」と悲しんだ。また、公式が全てに対応するのも難しいと理解を示し、「変えられるとするならポケカプレイヤー1人1人が節度を持った行動をするしかないです」と語った。

嘆きのツイートが想像以上に拡散され困惑もあった。”転売ヤー”とみられる人から「いやぁー今回もかなり稼がしてもらいました!ほんとポケカには感謝です!!」とコメントが来たという。ふなきっちさんは「ポケカはお金の道具じゃないです」と怒りをあらわにした。

5年前のように、また子供たちが笑顔でポケモンカードを買いにこれる日を楽しみにしている。「ポケカ公式は今こそ動くべきです。あなた方が動かないとどうすることもできません。そして、行政の皆さんに転売屋防止条例を作ってもらえることを心から祈っております」と訴えた。

(よろず~ニュース・松田 和城)

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