武山の大日堂、公開へ 23日から 壁や天井に仏画 茨城・笠間

弘法大師(左)や大日如来(右)が色彩豊かに描かれた大日堂の内部=笠間市箱田

茨城県笠間市出身の日本画家、木村武山が昭和初期に建てた仏堂「大日堂」(同市箱田、市所有)が、23日から公開される。建物内には武山邸近くにあった廃寺の木造大日如来(にょらい)座像が安置されている。壁や天井に色彩豊かに描かれた大日如来や菩薩(ぼさつ)像は、「仏画の武山」の本領が発揮され、壮麗な世界観を体感できる。15日には同所で開館式が行われ、出席した関係者は「武山の画業や優れた芸術性を広く発信できる拠点になってほしい」と期待を込めた。

大日堂は1935(昭和10)年、武山が59歳の時に建てられた。武山の屋敷が大日如来を本尊とする寺院の跡にあり、安置していたお堂は荒れ果てていた。武山の母親はこれに心を痛め、「大日様のお堂を建ててほしい」と要望。造り始めて間もなく母親は亡くなり、お堂が菩提(ぼだい)を弔う形になった。

建物内の中央には、平安時代中期の作とされる木造の大日如来座像が鎮座。取り囲むように、中央壁面に大日如来が、左右には日光菩薩と月光菩薩が色彩豊かに描かれている。さらに左側壁面には弘法大師が、右側壁面には虚空蔵(こくうぞう)菩薩が描かれている。この菩薩は右手が不自由となった後に初めて左手で挑んだ。天井にも猛禽(もうきん)や菩薩が描かれ、荘厳華麗な空間からは「仏画の武山」の神髄が伝わる。

市によると、大日堂と土地は89年、当時所有していた武山の子孫から大阪府内の法人に売却されていた。市は2018年、取得方針を決定し、管財人との交渉などを経て、昨年2月に土地と建物を取得。さらに貴重な文化遺産として後世に伝えるため、見学者用の駐車場やトイレなども整備した。

開館式で山口伸樹市長は「大日堂を通じて多くの人に武山の画業の価値を学んでもらえれば」とあいさつ。テープカットの後、関係者は大日堂内を見学した。

公開は毎月第2、4日曜の午前9時~午後4時。完全予約制。拝観料は大人500円、小中高生300円。申し込みは、市生涯学習課(電)0296(77)1101。拝観希望日の5日前までに申し込む。

© 株式会社茨城新聞社