4年分の声援が響く 宮古島トライアスロン 帰ってきた勇姿に島が沸く

 【宮古島トライアスロン取材班】新型コロナウイルスによる中断を経て4年ぶりの開催となった第37回全日本トライアスロン宮古島大会。待ちかねていた全国のトライアスリートは、快晴の空に映える「宮古ブルー」の海や温かく響く沿道の声援を満喫しながら力強く進んだ。ゴールの宮古島市陸上競技場では、感染対策によって伴走に制限があるものの、駆け付けた家族らが選手とともにテープを切り、仲間たちが拍手と歓声で健闘をたたえた。 

 「待ってました!」。レース会場各地で飛び交う歓喜の声。4年ぶりに宮古島に鉄人たちが帰ってきた。今大会は新型コロナウイルス感染症対策が取られ、従来の計約202キロのコースからスイム、バイク、ランの計156キロに変更。島は4年ぶりに熱い声援がこだまし、1107の強人たちが島を熱帯色に染めた。

 午前7時、スイムスタート地点の与那覇前浜ビーチでは号砲とともに「ウェーブ(時間差)スタート」の最初の組約300人が海へ飛び出した。レース序盤、スイムを終えた選手たちは池間大橋や東平安名崎などの絶景地を眺めながら疾走した。徐々に気温も上がり、宮古島地方は午後2時過ぎに最高気温27.7度を記録。選手たちは暑さ対策をしながらゴールを目指し、声援に沸く市街地を駆け抜けた。

 国道390号沿いのエイドステーションでは、久松中学校の生徒43人が飲料や冷水を含んだスポンジを配った。13歳と14歳の女子生徒は「スポンジを渡すと笑顔でお礼を言ってくれた。選手を少しでも癒やせるように多くのスポンジを届けたい」と懸命に手渡した。

 市下地の集落では下地八重子さん(82)の太鼓の音が響いた。「私が太鼓をたたくと、地域の人たちが応援をしに出てくる」とほほ笑む。

 市城辺友利のインギャーマリンビーチ前で例年交通整理のボランティアに立つ花城栄三さん(69)は「コロナ禍で大会が開催されず、さみしかった。きょうは4年分、選手から力をもらって楽しんでいる」と大きな声援を飛ばした。

 制限時間の午後6時半前、最終関門のゲート前には選手らの家族やボランティアが多く集まり、「ワイドー」「お帰り」などと選手たちを温かく迎えた。同6時半過ぎ、4年ぶりに花火の音が、過酷な長旅に終わりを告げた。

 締め切り直前に夕日を背負ってゲートをくぐった大阪府の辰巳郁雄さん(62)は「途中で諦めようと何度も思ったが、沿道の応援に背中を押された」とすがすがしい表情を見せた。

(友寄開、高辻浩之)

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