行楽シーズンの栃木駅(栃木県栃木市)利用者や地元住民を明るい気持ちにさせようと、東日本鉄道OB会佐野支部は15日、栃木駅コンコースに、同支部会員の佐野市栃本町、画家岩上満(いわかみみつる)さん(85)による水彩画「五月の風」を展示した。会員が縦160センチ、横250センチの大型キャンバスを特別に制作。市内で幼少期を過ごし、巴波(うずま)川やコイを原風景とする岩上さんが、色鮮やかなこいのぼりを描いた。
きっかけは高橋孝(たかはしたかし)支部長が昨秋、県外からの来訪者に「栃木駅周辺でもこいのぼりが見られたらいいのに」と提案されたことだった。JRや別のOB会からも両毛線を盛り上げる企画を求められ、岩上さんに「明るく元気になれる絵」の制作を打診した。
JR退職後に画家となった岩上さんは「会員が力を合わせてやるなら」と受諾。昨年11月、約10人の会員が岩上さんの指導を受けながら木枠を組み、台紙を貼り付けて200号のキャンバスを作り上げた。
岩上さんは心の風景である栃木市内をテーマとし、親子3匹のこいのぼりを描くことを決めた。3匹は自身が50歳の頃の家族をイメージしたといい、人生の思い出を重ねながら4カ月かけて完成させた。
15日は会員十数人が栃木駅を訪れ、JR改札口付近の窓にワイヤで絵を固定した。展示は5月7日まで。岩上さんは「絵を見た利用者や地元の高齢者が喜び、元気になってもらえれば。親子のこいのぼりを自分の人生に重ね合わせてみてほしい」と願いを込めた。