<金口木舌>「縮小社会」克服へのヒント 沖縄社会の縮図

 東村の村歌から2番の歌詞を引く。「村の長さは6里半 潮の香 香おる里6ツ 農業いそしむ村人は総てで3300余」。制定は1978年。村の隆盛が読み取れる

▼国勢調査によると1950年の人口は3481人だった。農業や林業で栄えた東村はその後人口が減少し、ことし4月には1735人と最盛期の半分にまで減った。沖縄本島で最も人口の少ない自治体となったこの村できょう村長選が告示される

▼人口減は一自治体だけの問題ではない。総務省統計によると、県全体の人口が復帰後初めて減少へと転じた。沖縄は「縮小社会」の入り口に差し掛かっている

▼離島や「へき地」と呼ばれる本島北部の自治体は何年も前から人口減と向き合い、それを乗り越える地域づくりを模索してきた。近い将来、この難題を抱えることになる沖縄社会の縮図がここにある

▼村長選では人口減少への対応を含め、村の将来ビジョンを大いに論じ合ってほしい。村外の県民にも刺激となろう。県全体の施策展開に向けたヒントも潜んでいるかもしれない。

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