SAKE需要、海外に活路 清酒の輸出、横浜港が初の首位 和食ブームで中国向け急伸

商品化を目指し東京国税局の検査を受ける新酒=3月、県酒造組合

 海外で広がる和食ブームが、清酒の海外輸出を押し上げている。新型コロナウイルス禍当初こそ輸出量は一時落ち込んだものの、2021年以降はリベンジ需要で急伸。横浜港は22年の金額シェアで初めて全国で首位に立ち、全体をけん引している。中国富裕層の高級志向が反映されているようだ。

 横浜税関によると、22年の全国の輸出量は前年比12%増の3万5895キロリットルで、過去最高を更新。コロナ禍で落ち込んだ20年の1.6倍にV字回復した。金額ベースでも前年比18%増の474億円と、13年連続で増え続けている。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産として「和食」が13年に登録されてから、海外で日本酒の人気が高まった。コロナ禍の影響が一足早く和らいだ海外の和食レストランで需要が持ち直し、ネット通販の普及で販路が広がっている。

 輸出先は米国が9084キロリットルと最多。中国7388キロリットル、韓国4054キロリットル、台湾3076キロリットル、香港2717キロリットルと続いた。金額ベースでは中国が141億円で、109億円の米国を逆転した。

 1リットル当たりの平均単価は過去最高の1323円で、中国向けは米国向けに比べて6割近く高い1917円だった。香港、シンガポール向けはそれぞれ2619円と2535円で、アジアで高級志向が強まっている。

 横浜港は30%増の5828キロリットルで、港別シェアは神戸、東京に次ぐ3位。一方、金額ベースでは66%増の118億円で横浜が4分の1を占め、初めて首位に立った。通関単価が高い中国向けが好調で、全体を押し上げた。

© 株式会社神奈川新聞社