トヨタとマイクロソフトが再提携。連勝狙うWRCクロアチアから『GRヤリス・ラリー1』にロゴ掲出へ

 TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR WRT)は今週4月21日(金)から23日(日)にかけて、ヨーロッパ南東部に位置するクロアチアで開催されるWRC世界ラリー選手権第4戦『クロアチア・ラリー』に4台のトヨタGRヤリス・ラリー1を投入する。

 すでに発表されているエントリーリストにあるとおり、今大会ではカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組、そして前戦メキシコで早くもシーズン2勝目を飾ったセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組が、マニュファクチャラーポイント獲得の対象となるワークスノミネートを受けて参戦予定。勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は引き続き4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1をドライブする予定だ。

 なお、TGR WRTはこの第4戦クロアチアに先駆け、マイクロソフトとのパートナーシップ締結を発表。トヨタがWRCに復帰した2017年シーズンから2020年にかけて協力関係にあった世界的なソフトウェア企業を、ふたたびチームのパートナーとして迎えている。

 この再提携によりクロアチア・ラリー以降、TGR WRTのマシンには“Microsoft”のロゴは加わるという。

マイクロソフトは2017年から2020年にかけて、TOYOTA GAZOO Racingと提携。当時のマシン(トヨタ・ヤリスWRC)にはMicrosoftのロゴが掲出されていた。 2020年WRC第1戦ラリー・モンテカルロ

 2023年シーズン初のフルターマック(舗装路)イベントとして行われるクロアチア・ラリーは、2年前の2021年に初めてWECの一戦に加わり今年で開催3年目となる。このラリーの特徴は、舗装されたステージのコンディションが1本のステージ中でも頻繁に変化する点だ。

 とくにコーナー部ではインカット走行により路肩の泥や砂利が道路上に掻き出されることで汚れた状態になりやすく、グリップ変化を読むのが難しい非常にトリッキーなラリーとして知られている。

 そんなクロアチア・ラリーは、首都ザグレブ中心部の見本市会場“ザグレブ・フェア”にサービスパークが置かれ、ステージは隣国スロベニアに近いクロアチアの北部に設定された。競技は20日(木)に行われるシェイクダウンとセレモニアルスタートのあと、翌日21日(金)からスタート。初日はザグレブの西部でSS1~8までの計8SS、22日(土)のデイ2は舞台をサービスパークの南西に移し、同じく計8本のSSで争われる。

 ラリー最終日の23日(日)は北側に移りふたつのステージを各2回、計4つのSSを走行。最終SS20はステージトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスポイントが付与される『パワーステージ』となっている。SS全20本の合計距離は301.26kmだ。

 チームを率いるヤリ-マティ・ラトバラ代表は、出走順の利を活かして今季3勝目を狙うオジエや、“8冠王者”とわずか4ポイント差で選手権3位につけている現チャンピオンで前年大会覇者のロバンペラ、さらには路面コンディションの変化に対応できるエバンスの走りに期待を寄せる。

■オジエの強さを目の前で見てきたラトバラ代表の言葉

「クロアチア・ラリーはとてもタフなイベントで、2022年は(降雨の影響もあり)非常に難しいコンディションになったし、ドライコンディションであっても路面には多くの土が掻き出されていた。しかし、過去2回は我々にとって良いラリーだったので、今回も良いフィーリングで臨むことができそうだ」とチームボス。

「チャンピオンシップリーダーであるセブ(セバスチャン・オジエ)は1番手という有利な出走順であることに加えて、彼のターマックラリーでの強さを我々は知っている」

「カッレ(・ロバンペラ)は昨年のクロアチアで最高のパフォーマンスを発揮し、難しいコンディションでいい走りをした。また、エルフィン(・エバンス)はグリップレベルが大きく変化するような路面でも素晴らしい走りをすることができる」

■テスト中の事故で亡くなったクレイグ・ブリーンを追悼

 TOYOTA GAZOO Racingは、『クロアチア・ラリー』に向けたプレイベントテストでのアクシデントにより今月13日(木)に帰らぬ人となったクレイグ・ブリーン(ヒョンデ・シェル・モビスWRT)に哀悼の意を表し、TGR WRTの豊田章男会長と佐藤恒治トヨタ自動車社長の連名で追悼文を発表した。

 また、ラトバラ代表も33歳でこの世を去った仲間の死を悼むメッセージを綴っている。

・豊田章男(TGR WRT会長)/佐藤恒治(トヨタ自動車株式会社 社長)

この度は、ヒョンデワークスチーム、クレイグ・ブリーン選手の突然の訃報に際し、TOYOTA GAZOO Racingを代表して同選手にご冥福をお祈り申し上げ、衷心より哀悼の意を表します。またブリーン選手のご家族、ご友人、ヒョンデ・モータースポーツの皆さまに心からお悔やみ申し上げます。

・ヤリ-マティ・ラトバラ(チーム代表)

他のすべてのWRC関係者同様、クレイグの突然の訃報にとても悲しんでいます。彼はトップドライバーであると同時に、ラリーがとても好きで、古いラリーカーやラリーの歴史について情熱を共有していた仲間です。ラリーの準備中ではありますが、私たちの想いはクレイグのご家族、友人、同僚とともにあります。

古巣復帰後初のラリーとなったスウェーデンで2位となり笑顔で会見に臨むクレイグ・ブリーン 2023年WRC第2戦ラリー・スウェーデン

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