監督の哲学 「信じる力が武器になる」別府翔青高校フェンシング部・佐藤麻依子監督 【大分県】

高校からフェンシングを始めた競技歴1、2年の部員を率い、全国高校選抜の女子団体エペで準優勝に導いた別府翔青の佐藤麻依子監督。昨年の栃木国体では少年女子の監督として高校2年と中学3年の若いメンバーで7位入賞と結果を残した。「できることを徹底する」と、自身が選手の頃から培った「勝負の鉄則」を今も貫く。

佐藤監督のスポーツ歴は、ソフトテニス、空手、水泳、バトントワーリング、サッカー、バレーボールと多岐にわたる。「スポーツが得意だった」少女は、高校入学を機にフェンシングを始めた。津久見高校フェンシング部の女子1期生となり、男子と一緒に厳しい練習を重ねた。「いろいろと言われても分からないから、簡単なパターンを教わり徹底した」。結果が出るまで不安はあったが、得意パターンを磨くことが必勝パターンになることを学んだ。九州大会優勝、全国高校総体でも上位入賞し、東京女子体育大時代は全日本学生選手権で個人エペ5位になるなど輝かしい実績を残した。「フェンシングと出合って人生が変わった」。大学卒業後はフェンシングを続けながら、ジュニア世代への普及活動に取り組んだ。

教職員になってからは育成、強化に力を注ぎ、フェンシング強豪県の一役を担った。これまでの教え子のほとんどが、高校から競技を始めた選手が多く、「試合で使える戦術を3パターン教え、身に付けさせる」ことに力を注いだ。もちろん、それぞれの選手の特徴に合わせて微妙な調整は必要で、自らが練習相手となって基本パターンをたたき込んだ。「初めはできることが限られている。無駄なことは極力省き、選手が試合で迷わないように型を作ることが重要だ」という。

全国高校選抜で準優勝した別府翔青女子チーム

試合になると不安を感じる選手もいるが、「まずはこれまで練習したことをやり切ろう」とピスト(競技台)に送り出す。狙い通りにポイントを重ねれば大きな自信となるが、相手にポイントを与えてしまえば不安になる。負けた選手に対しては、「必ず負けた要因があり、それが何かを説明する」。理解できるまで時間を要する選手に対しては、選択肢の数を少なくする。理解力のある選手に対しては、課題を与え、自分で答えを導く思考力を学ばせる。

指導において「正解はない」と、自問自答を繰り返す日々は続くが、選手が迷わないように導くことが指導者の役割だと信じている。フェンシングは「スポーツのチェス」と言われるほど頭を使った駆け引きが多いスポーツだ。だからこそ「試合になれば、迷いが生まれたら負ける。自分にはコレしかないと思うのではなく、自分にはコレがあると自信を持ち、仕掛けることができれば勝てる。自分を信じる力こそが大きな武器になる」。

勝って喜ぶ選手の顔を見たときが指導者の喜びだと語る佐藤監督の目標は「フェンシングの楽しさを伝え、競技人口を増やすこと」。初心者歓迎、フェンシング部への入部を募っている。

選手を迷わせない指導を心掛ける

プロフィール

佐藤麻依子

1987年7月25日生まれ、O型、臼杵西中学→津久見高校→東京女子体育大学

指導者として譲れないものは?

絶対はない、柔軟さが必要

勝てるチームの条件とは?

コミュニケーション力

高校生の自分にアドバイスするなら

一生懸命に練習をしていたけど、日本一を目指していたならもっとできるはず。今も優勝できなかった悔しさがあり、夢に出る。

自己分析バロメーター

攻 撃 的 ○○○○● 守 備 的

個 人 ○○○●○ 組 織

スペクタクル○○●○○ リアリズム

理 論 派 ○○○●○ 感 覚 派

(柚野真也)

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