はっきりと、地方再生を

 今では「懐かしい」の一語しか、残念ながら浮かばない。ちょうど20年前の新語・流行語の年間大賞は、テツandトモさんの「なんでだろう~」などと並んで「マニフェスト」が選ばれた▲「政権公約」と訳され、ラテン語の「はっきり示す」からきているという。何を、いつまでにやるのか、数値で示す。2003年の衆院選では、各党が冊子に公約を詰め込み「マニフェスト選挙」と呼ばれた▲ただし、達成できたかどうか、国民に見透かされる。やがて各党は数値を押し出さなくなり、一時の流行で終わった▲時は流れて、15年春の統一地方選では「地方再生」が一大テーマだったが、これも翌年の参院選ではしぼんでいく。その後も各党の公約や党トップが「地方再生」に全力をこめているとはいえまい▲ならば、候補者が力の限り「地方」を語るしかない。長崎、佐世保の市長選と、長崎、佐世保、大村の3市議選が始まった。きょうは二つの町長選と五つの町議選が告示される。市長選はともに16年ぶりのトップ交代になる。どちらも人口流出が著しい▲住みやすさ、働きやすさ、子育てのしやすさ…。何を変えていくのか、どうやって推し進めるのか、その道筋を具体的に聞きたい。はっきりと示す。地方再生に声をからす。それらに、はやり廃りはない。(徹)

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