三郷市水道談合、元市職員に執行猶予付き判決 裁判長「甘さが招いた」が「社会内で更生する機会を」

さいたま地裁=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 2018年7月、埼玉県三郷市が発注した工事の一般競争入札で予定価格情報を業者に漏らしたとして、官製談合防止法違反と加重収賄の罪に問われた、元同市水道部施設課主幹兼施設係長の無職宮城真司被告(51)=同市泉2丁目=の判決公判が17日、さいたま地裁(中桐圭一裁判長)であった。

 中桐裁判長は「公正な入札の実施などに対する信頼は大きく損なわれた」として懲役1年6月執行猶予3年、追徴金約11万円(求刑・懲役1年6月、追徴金約11万円)を言い渡した。

 判決理由で中桐裁判長は、宮城被告は入札の根幹に関わる部分を業者側に伝えて賄賂を収受しており、「犯情は甚だ悪質」と指摘。入札不調になることを避けたいという考えから犯行に至っており、「動機に酌むべき事情はなく、公務員の職務の公正に対する被告人の甘さが招いたもの」と述べた。

 一方で、宮城被告は反省し、懲戒免職処分を受けるなど一定の社会的制裁を受けており、「執行を猶予し、社会内で更生する機会を与えるのが相当」とした。    判決によると、宮城被告は18年8月6日に執行した水道工事一般競争入札で、県内に営業所を持つ水道工事会社の取締役と営業担当の男性2人=いずれも贈賄罪、時効成立=に予定工事価格に近い額を教えて入札、落札させ、謝礼として、同年7~11月までの間、7回にわたり計約11万円の飲食接待などを受けた。

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