諫早湾干拓 堤防閉め切り26年でシンポジウム 再生へ解決策

意見交換する参加者=諫早市民センター

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防閉め切りから26年に合わせ、同事業を巡る現状や有明海再生に向けた解決策を市民の立場で考えるシンポジウムが15日、諫早市民センター(東小路町)であり、県内外から約60人が参加した。
 同事業を巡っては、開門を命じた2010年の確定判決の執行力排除を国が求めた請求異議訴訟で最高裁は今年3月、漁業者の上告を棄却。ねじれていた司法判断は「非開門」で統一したが、有明海再生の道筋は見えない。
 シンポジウムは市民団体「干潟を守る日2023in諫早」実行委が開き、漁業者が今季の養殖ノリ被害を訴えるなどした。裁判の現状を報告した開門派弁護団の堀良一事務局長は、湾内漁業者が開門を求めた第2、3陣訴訟控訴審で福岡高裁が3月、原告の訴えを退ける一方、閉め切りと湾内の漁場環境悪化、漁獲低迷との因果関係を認めた点に言及。有明海再生に向けた国との話し合いの好材料になるとの認識を示した。ただ、協議について国は非開門が前提との姿勢を堅持しており、「(前提条件なしの話し合いを実現させるための)市民運動を構築していく大事な時期」と強調した。
 参加者による意見交換では「伝統行事の復活、掘り起こしで地域の分断、対立が少なからず是正され、地域再生に向けて語り合える環境づくりを進めることができれば」「豊じょうの海をよみがえらせるには多くの人の声が必要。(関心を高める)行事があればいい」などの発言が上がった。
 16日は潮受け堤防や干拓農地の見学会があった。

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