遺体を移送し身元特定進める 陸自ヘリ事故 残る不明者の救助、海底のため長期化も

 陸上自衛隊のUH60JAヘリコプターが行方不明となった事故で、自衛隊は17日、沖縄県宮古島市伊良部島の北側約6キロの海底から新たに搭乗者とみられる2人を引き上げた。2人は18日にも港に移し自衛隊施設へ移送される。また、陸自は16日に引き上げた搭乗者とみられる1人の遺体を17日に那覇市にヘリで移送した。今後、検視や司法解剖などを行い身元の特定を進めるとともに残る不明者の捜索も急ぐ。

 関係者によると、水深約100メートル超の海底での厳しい作業となるため、救助は長期化する恐れもある。事故発生から12日。地元住民からも全員の救助を願う声が相次ぐ。

 17日午前10時20分ごろ、宮古島の航空自衛隊宮古島分屯基地のヘリポートで、十数人の隊員らが見守る中、駐機する陸上自衛隊のヘリコプターに車両から遺体が運び込まれた。約30分後、那覇市の陸上自衛隊の施設に向け離陸した。

 17日午後7時過ぎ、平良港に隣接する下崎埠頭(ふとう)に、潜水艦救難艦「ちはや」の作業艇が接岸。港にいた自衛官らにクーラーボックスを手渡し、作業艇はその後離岸した。

 自衛隊は海底に確認されている1人の救助を急ぐともに、水陸機動団などを動員し、引き続き行方不明の5人を捜索している。

 陸上自衛隊宮古島駐屯地所属の隊員を親族に持つ女性(90)は「(親族も)捜索に当たっている。どのような形でも家族の元に帰してあげてほしい」と祈るように話した。

 宮古島市の座喜味一幸市長は17日、報道各社に対して「亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り致します。まだ引き上げられていない方については一刻も早く引き上げていただきたい。いまだ発見に至っていない5人の方々については、引き続き捜索をお願いし、搭乗員の家族の元へ戻ることができるよう願っている」とのコメントを発表した。

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