トップ独走中、車と衝突もレース復帰の細田 約25分のタイムロス後、諦めず完走 宮古島トライアスロン

 【宮古島トライアスロン取材班】第37回全日本トライアスロン宮古島大会(主催・宮古島市、琉球新報社)の熱戦を終え、17日にJTAドーム宮古島で開かれた上位入賞者記者会見。男子で初出場、初優勝した寺澤光介(東京)、女子2度目の出場で初制覇の戸原明子(茨城)らは晴れやかな表情で大会を振り返り、レースの成果や今後に向けた課題を口にした。

 スイムをトップ通過し、バイクでも独走していた細田雄一(38)=千葉=だったが、東平安名崎に向かう途中にアクシデントに見舞われた。

 先導する白バイ隊がコースそばの農道から出てこようとする車両に停止を求めたが、車はそのままコースに進入。細田は反射的に体を反らし、頭から突っ込むのを避けて右肩部分で車両に衝突し、そのまま倒れ込んだ。「フルブレーキをしたのとヘルメットのおかげ」と、しばらくして立ち上がったが、車の助手席のガラスが割れるほどの衝撃だった。

 現場に救急車が駆け付け、心拍数やけがの有無など体の状態を確認。特に異状はなさそうとの判断だったが、救急隊員からはリタイアを勧められた。しかし細田は「レースに復帰したい」と要望し、メカニックにバイクの調整をしてもらった上でレースに戻った。約25分の時間を失ったが最後まで諦めず、完走を成し遂げた。

 弟の勇姿を見ようと、北谷町に住む姉の彩さん(40)も大会ボランティアで参加していた。「大変だったね」と弟の体を気遣いながら完走を共に喜んだ。細田は「来年も出場するしかない。狭き門かもしれないが必ず出たい」とたぎる思いを込めた。

 (大城三太)

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