天井板に姿変え ご神木“里帰り” 諸塚・塚原神社

神木を購入した宮崎工務店から寄進され、住民にお披露目された塚原神社の天井板

 倒木の恐れがあり伐採された宮崎県諸塚村家代・塚原神社のご神木が、同神社の天井板に姿を変えて”里帰り”した。伐採を請け負った業者との縁をきっかけに、木を購入した工務店が無償で加工し寄進した。塚原地区の住民たちは「元の場所に戻ってこられて神様も喜んでいるのでは」と感謝している。
 同神社境内には樹齢230~250年で高さ最大40メートルのスギ、イチイガシが立ち並んでいたが、中には傾きかけた木も。近隣には民家や公民館があり、倒れると被害が出る恐れがあったため、地区で協議し17本の伐採を決断。巨木伐採を得意とする「はなぶさ特殊伐採」(池田太一代表、熊本県和水町)に作業を依頼した。
 同社は2021年11月に伐採に当たり、その様子を動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信。さらに神木が市場で落札される様子も撮影し、購入した同県八代市の「宮崎工務店」常務・宮崎晃さん(51)と出会った。伐採の経緯を知った宮崎さんが、天井板にして寄進することを提案した。
 改修された天井板は今月1日に同神社春の大祭でお披露目され、池田さんと宮崎さんも参加した。池田さんは「伐採を担った者として、一部だけでもつながり循環できたのはうれしい限り」。宮崎さんは「不思議な巡り合わせで神様に導かれたような気がする」と感慨深げだった。
 同地区の小川重好さん(62)は「(神木が)帰ってくるとは思っていなかったので感動した。今回の縁がさらに広がってほしい」と話していた。
 伐採などの様子は、はなぶさ特殊伐採のユーチューブチャンネルで視聴できる。

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