S耐鈴鹿で負傷の山野哲也、全日本ジムカーナ復帰戦で優勝「身体を労りながらタイトルを狙っていきます」

 全日本ジムカーナ選手権で通算22回の戴冠、スーパーGTでも3度シリーズチャンピオンに輝いた“レジェンド”山野哲也が、肋骨の骨折から競技に復帰。4月15~16日に広島県広島市のスポーツランドTAMADAで行われた全日本ジムカーナ選手権第2戦『MAZDA SPIRIT RACING CUP IN TAMADA』に参戦し優勝を飾った。

 山野は今季2023年、ENEOSスーパー耐久シリーズと自身23度目となるチャンピオン獲得を目指す全日本ジムカーナに参戦している。この内、ひと足早く3月19日に行われたスーパー耐久の開幕戦鈴鹿に日本自動車大学校から出場した山野は、決勝レースの終盤130Rの立ち上がりで他車と接触。挙動を乱した山野駆るOHLINS Roadster NATSは日立Astemoシケイン手前のガードレールに激しくクラッシュしてしまう。

 アクシデントのあと山野は鈴鹿市内の病院へ緊急搬送され、検査で肋骨の骨折が確認された。この怪我の影響で翌週開催の全日本ジムカーナ第1戦『もてぎスーパースラローム2023』を欠場することになった山野。その後療養とリハビリを続けていたレジェンドの競技復帰は、事故から約1カ月後の第2戦TAMADAとなった。

 その第2戦で愛機『EXEDY71RS A110S』のコクピットに戻った57歳の“鉄人”は、同じくアルピーヌA110Sを駆る大橋政哉(DL μG-LFWA110S)やブリヂストンタイヤを使用する古谷知久(アーイーストロック・GT3RS)らを抑えてPE1クラスで優勝。累積単戦勝利数をまたひとつ積み重ね通算130勝目をマークしてみせた。

 復帰戦を優勝で飾った山野は、大会中自身の体調が万全ではなかったことを明かした。走行中にめまいが起きるなどの症状もあり、一時はリタイアすることも考えたという。

「鈴鹿のクラッシュのあと、数えきれないほどの暖かいメッセージをいただきました。ファンの皆さん、関係者のみなさん、本当にありがとうございました」と感謝の言葉を語った山野。

 彼の優勝報告のコメントは、競技後のファンサービスができなかったことを謝罪するなど山野らしさが感じられるものとなっている。

「4月16日に行われたJAF全日本ジムカーナ選手権シリーズ第2戦『MAZDA SPIRIT RACING CUP IN TAMADA』に参戦し、優勝することができました。ブリヂストンタイヤとともに今期初優勝できたことを、とてもうれしく思います。皆さんのご声援に心より感謝いたします」

「各所の痛みはほぼなくなりましたが、走行後は気分が優れず、医務室で休息させていただきました。施設、会場、主催者の皆さん、ありがとうございました。そのことから積極的なファンサービスができなかったことを来場された広島の観客の皆さんにお詫びいたします」

「うれしかったことは、チームクルーが私の体調への最大の配慮や助言をしてくれたことです。『いつでもリタイアしていいよ』という言葉は私を安心させてくれる言葉でした」

「身体を労りながらふたつのカテゴリーでシリーズタイトルを狙っていきます。引き続き応援をよろしくお願いします」

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