JR北海道「737系」公開 室蘭線で5月20日にデビューする新型車両をご紹介

JR北海道は2023年4月19日、札幌運転所(札幌市手稲区)で新型車両「737系通勤形交流電車」を報道陣に公開しました。

737系はことし5月20日に室蘭線へ投入される新型車両。同線で使用されているすべてのキハ143形と一部を除くH100形を置き換えます。これにより苫小牧~室蘭間の気動車列車66本のうち約8割が電車での運転となり、所要時間の短縮や接続改善が図られます。

2023年春までに13編成(26両)を製造、すべて札幌運転所に所属します。室蘭線へはこのうち7編成を投入する予定で、今後は函館本線での運用も計画されています。

車両の仕様、アルミ車体を選んだ理由は?

737系は1M1Tの2両編成で運転。仕様上は最大6両まで併結可能で、営業運転ではほかの形式との連結は想定されていません(救援時などは除く)。

JR北海道の通勤形電車では初めてワンマン運転に対応しており、そのために必要な機器を追加したことで重量が増加したため、軽量化を目的として車体はアルミ合金製となりました(先頭部のみ鋼鉄製)。

最高速度は120km/h、車内はオールロングシートです。座席数は既存のキハ143形2両の96席に対し737系2両が93席とわずかに減少することになりますが、クロスシートのキハ143形と異なり通路が広くなることで立席は増加。2両合計の定員は244人から269人に増え、課題であった通勤・通学時間帯の混雑緩和に貢献するものと見られます。

主変換装置にハイブリッドSiC(シリコンカーバイド)モジュール、照明にLEDを採用しており、環境性能も向上。従来の車両と比較して消費電力の低減が図られています。

車両外観は薄いピンクの優しい色に

1号車側面。塗装は優しい「さくらいろ」で、ピンクより白に近い印象を受けました

車体の塗装は「さくらいろ」をイメージした薄いピンク色。地域の移動手段として通学や通勤で日常的に利用する車両となることから、優しさが感じられ、親しみやすく明るく若々しいイメージの色が選ばれました。

前面部は黒色をベースとしており、視認性の向上を目的として、JR北海道のコーポレートカラーであるライトグリーンと警戒色の黄色を入れたデザインとなっています。

先頭車側から眺めた状態。黒をベースにコーポレートカラーと警戒色を入れています

車両内装・座席に北海道の花をイメージしたドット柄

2号車(クハ737-1)内観

内装は外観同様に優しさが感じられるデザインとなりました。乗降ドアは外観と同じ淡いピンク色で、ドアだけ色が異なるデザインは733系や731系を踏襲したものです。座席は北海道内に咲く色とりどりの花をイメージしたドットをちりばめたデザインとなりました。

バリアフリー対応として、各車両にフリースペースを設置。また2号車(苫小牧方、クハ)には車いす対応トイレや車いすスペースも設置されており、車いす利用者だけでなく、ベビーカーを利用する方や大きな荷物をお持ちの方も快適に利用できるようになっています。

5月20日に室蘭線のダイヤが変わる

737系の投入により、室蘭線(苫小牧~室蘭間)では多くの列車が時刻・行先等を変更します。また札幌直通の列車2本も札幌~苫小牧間で一部時刻が変更となります。H100形もすべてではありませんが、多くが室蘭線の架線下運用から退きます。

詳細なダイヤはJR北海道のホームページでご確認ください。

記事:一橋正浩

【画像】まだまだあるぞ!737系の外観・内装・運転台など

C編成の「C」にはワンマン運転「Conductor-Less」、変革「Change」、地域接続「Community Connect」、カーボンニュートラル「Carbon neutral」などの意味が込められています。「留」のシールは留置ブレーキの意味
2号車を正面から 赤の尾灯が点灯しています
車両記号「クモハ737-1」(1号車)は白色で記されており、目立ちません
1号車は定員136名(2号車は133名)、客室床面を低くし乗降口のステップをなくしており、キハ143形と比較して19cm低床化しています
2号車に設置された車いす対応トイレ
各車両に設置されたフリースペース
JR北海道らしさ?乗降部のドアだけ色を変え、外観同様の淡いピンクに
シートデザインは北海道の色とりどりの花をイメージしたドット柄
737系2号車の運転台

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