【連載コラム】第8回:開幕13連勝した過去2チームはその後苦戦 今季のレイズは首位を守れるか

日本時間19日に行われたレッズ戦でも10-0と完封し打線爆発のレイズ @Getty Images

先週のコラムで取り上げたレイズが最終的に開幕からの連勝を13まで伸ばしました。1982年ブレーブスと1987年ブリュワーズに並ぶ近代MLB(1900年以降)の最長タイ記録です。これを上回る記録は、1884年にユニオン・アソシエーションというレベルの低いリーグに所属していたセントルイス・マルーンズの開幕20連勝しかなく、レイズの開幕13連勝は実質的にMLB史上最長タイ記録だったと言って差し支えないでしょう。1884年のユニオン・アソシエーションを94勝19敗1分で圧勝したマルーンズは、翌1885年にナショナル・リーグに加盟するも36勝72敗で最下位に低迷。1886年も43勝79敗で8チーム中6位に終わり、この年限りで解散しています。

さて、話をレイズに戻しましょう。レイズは開幕13試合の117イニングのうち、相手チームにリードを許した状態で終えたイニングがわずか6イニングだけでした。これは近代MLBでは初、1900年以前を含めてもわずか3チーム目という快挙です。また、開幕13試合での得失点差+71は近代MLBでは最多、1900年以前を含めても歴代3位という大記録になりました。13連勝中の本塁打数(32)が失点数(30)を上回っていたことからも、いかにレイズが投打両面で充実した戦いを展開していたかがうかがえます。ちなみに、レイズは2004年6月の12連勝が球団記録だったため、今回の開幕13連勝で最多連勝の球団記録を更新することになりました。

このままアメリカン・リーグ東部地区の首位を独走していきそうなレイズですが、過去に開幕13連勝した2チームの戦績を見てみると、そんなに単純な話ではなさそうです。ジョー・トーレ監督の下で開幕13連勝した1982年ブレーブスは最終的に89勝73敗で当時のナ・リーグ西地区を制したものの、8月に4度のサヨナラ負けを含む11連敗を喫し、ドジャースに首位の座を明け渡しました。壮絶なデッドヒートの末、1ゲーム差で地区優勝を果たしましたが、リーグ優勝決定シリーズでは東地区王者のカージナルスにスイープ負け(3連敗)を喫しています。

1987年ブリュワーズはかなり早い段階で失速しました。トム・トレベルホーン監督の下、開幕23試合で20勝3敗の好スタートを切ったものの、そこから12連敗。2連勝したあと、さらに6連敗を喫し、開幕43試合を消化した時点で22勝21敗、貯金はわずか1つになってしまいました。直後に6連勝するなどして持ち直し、91勝71敗でシーズンを終えましたが、首位タイガースから7ゲーム離されてア・リーグ東地区3位(ブリュワーズは1997年までア・リーグ所属)。ポストシーズンに進むことすらできませんでした。ただし、リーグで3番目の勝率だったため、現在のフォーマットに照らし合わせれば、ポストシーズンに進めていたことになります。

開幕13連勝した過去2チームに共通しているのは、開幕13連勝を帳消しにするような大型連敗を喫しているということです(1982年ブレーブスは11連敗、1987年ブリュワーズは12連敗)。よって、ヤンキース、ブルージェイズといった強豪が揃うア・リーグ東部地区においてレイズが首位の座を守り続けるためには、開幕13連勝のアドバンテージを帳消しにするような大型連敗を喫しないことが重要と言えます。1982年ブレーブスも1987年ブリュワーズも「打」のチームでしたが、レイズにはリーグ有数の強力投手陣が揃っています。その点を考慮すると、レイズが大型連敗を喫する可能性は低く、今後も首位を快走する安定した戦いが期待できるのではないでしょうか。

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