【RQインタビュー】レースクイーンNo.1の振り返り姿をみせる央川かこ「これからもカッコいいRQ像を貫き通したい」

 2023年もスーパーGTのTGR TEAM au TOM’Sを応援するauサーキットクイーンとして活躍する央川かこさん。

 ここ数年は、近藤みやびさんとのコンビで、高身長でスタイルの良い“カッコいい系レースクイーン”として注目を集め、央川さん自身も、今ではサーキットに欠かせない存在だ。今シーズンは、auサーキットクイーンを継続し、新しいチームメイトには辻門アネラさんが加わり、スレンダーな長身コンビは今年もサーキットで注目の的だ。

 実は央川さん、レースクイーンになる前は宝塚音楽学校に在籍していたことがあるという経歴を持っている。

「1年くらいで辞めたんですけど、学校には入りましたね」と苦笑いしながら、当時のエピソードを話す央川さん。両親が大の宝塚ファンで、その影響が大きかったという。

「正直、宝塚歌劇は全然好きではなくて、親が大好きだったので『(学校に)入れ!』って、めっちゃ言われていました。中学3年のときに1回試験を受けましたが、落ちてしまいました。そこで親にめっちゃ怒られて『なんで落ちたと思う?』『何が原因だったと思う?』と言われて……(苦笑)。それを1年で克服しました」

「2年目の挑戦の時は、もう必死でしたね。もう『1年前の、あの恐いお父さんを思い出したくない!』『もう入るしかないんだ!』と思って、なんとか合格しました」

 宝塚のことになると、ご両親も厳しかったようで、央川さんはもう特訓を重ねて、狭き門を見事通過するのだが、「すぐに退学届を出して……、辞めさせてもらいました(笑)」と振り返る。

「私はダンスも歌もお芝居も、全部嫌いだったんですよ! もう、苦痛で仕方がなくて……『これに人生を捧げることは、私にはできない』と思いました」

 結局、入学しておよそ1年で退学したのだが、短い期間でも得たものは大きく、それが今のレースクイーン活動でも役に立っていると、央川さんは語る。

「挨拶は絶対にしなきゃいけないとか、お礼はちゃんと言わないといけないとか……その辺は新人のレースクイーンの子はできていないことが多いと思います。そういうのを見ていると『あそこで習って良かったな』という思いはあります」

「やっぱり宝塚音楽学校に入ると、先輩がめっちゃ恐いんですよね。あれ以上に恐い人に出会ったことがないので(苦笑)。その経験は良かったなと思います。今でも、だいたいのことは『あの時よりマシだ!』と思えば、大丈夫ですからね」

 退学後は沖縄で秘書の仕事をし、22歳の時に上京してきた央川さん。東京にやってきてすぐに、モデル関係の仕事でスカウトされたのが、そこから“意外なきっかけ”でレースクイーンの仕事を始めることになったという。

「最初、事務所に“ウエディングモデルをやらないか”と言われてスカウトされました。将来結婚できるかわからないから『ドレスを着たいな!』と思って、そんな軽い気持ちで事務所にいっちゃいました(笑)」と央川さん。事務所で細かな話をしているうちにレースクイーンの仕事も勧められたという。

 レースに関してはまったく無知な状態だった央川さん。2018年にEXEDY RACING GALSとしてスーパーGTのレースクイーンとなったのだが、サーキットでも疑問に思うことばかりだったという。

「レースのことはまったく知りませんでした。レースクイーンが何をするのかも知らなかったし、どんな人が活躍しているのかも知りませんでした。本当に初めてでした」

「1年目はEXEDYのレースクイーンをさせていただいて、スーパーGTでは38号車を応援していたんですけど、そこがすごく有名なチームということも知らなかったので『なんで、こんなに(ピットウォークで)うちのチームの前にファンがたくさんいるんだろう?』と思いましたね」

「その時はZENTsweeties務めていた藤木由貴ちゃんとか、人気のレースクイーンもいたんですけど、最初はそれもわからなくて……『なんでこんなに人が多いの?』となっていました(苦笑)。でも、シーズンが進むにつれて、すごい人たちだということがわかっていきました」

「レースに関しても、その年の開幕戦とかは、訳もわからず始まって終わっていった感じがありました。EXEDYの時はグリッドボードも担当することがなかったので『いつもZENT sweetiesからグリッドにひとり行っているけど、あれは何しに行っているんだろう?』みたいな感じでした」

 2019年はLEON RACING LADYを務めた央川さん。そこで少しずつレースのことについてもわかってきたというが、2020年にauサーキットクイーンとして、名門トムスのレースクイーンになったことが、大きな転機だった。

4年連続でauサーキットクイーンを務める央川さん

「トムスには、いっぱいレースクイーンがいますが……みんなレースが大好きで、レースを観ながら、各々が実況を始めるんですよ! 誰も聞いていないのに、勝手に自分達で実況している感じで(笑)」

「それを聞いていて、レースのことや、ドライバーさんのことがわかるようになったし、めちゃくちゃ面白いなと思えるようになって、すごく詳しくなった気がします」

「特にスーパーGTは、GT500クラスとGT300クラスが一緒に走っていて、それで状況も刻々と変わるじゃないですか。ちょうどバトルをしている時とかに『(追われている時は)あいだに300のクルマが入ってよ!』とか『追っている時は)今のタイミングでどいてよ!』と思ったりして、別のクラスの車両に頼るところがあるというのが面白いですね!」

 2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、シーズンの前半4戦はレースクイーンたちもサーキットに行くことができなかった。そこでトムスは、チームのレースクイーンだけが集まってテレビ観戦している様子をYouTubeライブで配信していた。

 その時も、みんなでレース展開に一喜一憂し盛り上がっていたそうだが、今ではサーキット内の控え室で同じような光景が見られるとのことだ。

「サーキットでも、レース中は控え室で騒いでいます。本当、みんなに聞かせてあげたいくらい面白いです(笑)」

「自分もしゃべっているんですけど、みんなのも聞いているし、それで勉強になることも多いから、いいですね!」

 今ではレース中の応援にも力が入っているという央川さんだが、2021年には36号車が大逆転でシリーズチャンピオンを獲得し、歓喜の瞬間にも携わることができた、

「レースクイーンって、レースに対して直接何かをできるわけではないんですけど、2021年にチャンピオンを獲ったときは、ファンの人をはじめ、みんなが『おめでとう!』と言ってくれました」

「なかにはSNSで初めてコメントをくれる人とかもいたから『ちゃんとチームに携われているんだ』と感じました。普段、そこまで言われることはあまりないですし、1回1回の優勝も、そこまで大きく取り上げられることはないので、それだけシリーズチャンピオンになって、いろいろな人がおめでとうと言ってくれたのは、初めての経験だったので……すごく嬉しかったです」

 すっかり、モータースポーツが好きになった央川さん。今では普段の撮影会でも、レースの話題で盛り上がることがもっぱらで、「よくレースの話をしたすぎて、撮影会どころじゃなくなります(苦笑)。『ちょっと1回(撮影を)止めよう! みんなで、この前のレースのことを話そう!』みたいになっていることもあります! だから、撮影会にレースファンの人が来てくれると、すごく嬉しいです」と笑顔をみせていた。

 自分もどっぷりとハマったモータースポーツの魅力を、今度はレースクイーンという仕事を通じて、多くの人に発信していきたい思いも、日に日に強くなっているようだ。

「特に私はもともとレースに興味がなかったから、余計にレースの魅力を発信していきたいなと思っています。今だとインスタグラムとかもあるなかで、(SNSの全体ユーザーでみると)ほとんどの人がレースを知らないと思います」

「でも、何か私をきっかけにして……、それこそ写真からでも良いので、レースを見たらしてくれたら良いなと思って、今はめちゃめちゃ発信しています!」

「同時に、普段はレースを見なくて、私の撮影会に来てくれた人が、そういうのをきっかけにレースを見てくれるようになれば、レースクイーンをやっている意味があるなと思います」

 今年もサーキットでの活躍が期待される央川さん。auサーキットクイーンとしては4シーズン目、今までと変わらず、自身のこだわりを貫いていきたいと語る。

「あまり“目標”みたいなものはないんですけど、『カッコいいレースクイーンでいたいな』と思っています」

「最近は可愛い系の子たちがすごく増えてきましたけど、私が想像しているレースクイーンって、めっちゃスタイルが良くて綺麗で……というイメージです。でも、そういう路線のレースクイーンが希少になり始めてきているので、カッコいいレースクイーンというのは自分のなかで崩したくないですし、まわりから憧れてもらえるようになりたいなと思います」

「みやびん(近藤みやびさん)もレースクイーンを辞めちゃって、カッコいい系の人がいなくなっていってしまうので、そこは私が守っていきたいなと思っています!」

 央川さんといえば、昨年は『レースクイーン界でいちばんきれいな振り返り姿』を言われるほど、振り返った姿の写真が話題となった。

 これについては「よく『振り返りのポーズをして』とリクエストされるんですけど、最初写真をみたら、めちゃくちゃ変な感じだったんですよ」

「それが悔しいから、ストレッチとかもたくさんして、鏡で毎回チェックして改善しました撮影会でも振り返りのポーズを撮ってもらって、それを見て、どんどん修正して……そういう研究を重ねた結果です!」と語ってくれた。

 こういった些細なことに妥協をせずに、自分の理想をストイックに追い求めていくところは、もしかすると昔通った宝塚音楽学校での経験が活きている部分もあるのかもしれない。

 今年も理想を追い求めていき、さらに魅力が増していく央川さんが、各サーキットで見られそうだ。

スーパー耐久ではraffinee Ladyを務める央川かこさん

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