特急・グリーン券半額補助 栃木県足利市、新規移住者対象に 人口流失抑制や定住促進へ

市が東武鉄道・足利市駅構内に設置した移住・定住相談センター

 若者の人口流出抑制や移住定住の促進、少子化対策などにつなげようと、栃木県足利市は本年度、鉄道で東京圏に通勤する人を対象に、特急券やグリーン券の購入費を補助する制度を創設した。4月以降に市内へ移住した人が対象で、上限額は月額1万円。早川尚秀(はやかわなおひで)市長が20日の定例記者会見で発表した。市地域創生課によると、グリーン券を補助対象としたのは県内で初めて。

 東京圏へ通勤しやすい環境を整備することで、市内への移住定住のハードルを下げるのが狙い。

 補助要件は勤務先から特急券などの手当が支給されず、5年以上定住する意思がある市民ら。東武鉄道・足利市駅-浅草駅間の特急券や、JR久喜駅を乗降駅とする普通列車グリーン券の購入額の2分の1を補助する。市は初年度の利用者を20~30人と見込み、本年度当初予算に100万円を盛り込んだ。

 東京圏に近い県南地域では、各自治体で通勤の補助制度を設ける動きが広がっている。早川市長は「都市間競争を勝ち抜くためにも、他自治体と差別化を図ることが必要」と説明した。

 また市は本年度、結婚支援策として結婚相談所などへの入会登録料を5千円補助する制度も設けた。県や各市町の協賛金で運営する「とちぎ結婚支援センター」や足利に事業所を置く結婚相談所に4月以降に登録する市民が対象となる。

 同センターの入会には2年間で1万円の登録料が必要で、その半額に当たる5千円を上限額とした。本年度当初予算には100人分に当たる50万円を盛り込んだ。

 市によると、2020年時点の市民の50歳時未婚率は、男性が33.2%で女性が21.7%。女性は全国平均を1.7%下回ったが、男性は逆に1.3%高かった。

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