粘着物質使用疑惑で退場のシャーザー 10試合の出場停止処分が確定

日本時間4月21日、メジャーリーグ機構は不当な手段で手の粘着性を高めたとして同20日の試合で退場処分を受けていたメッツの右腕マックス・シャーザーに対して10試合の出場停止処分と未公表額の罰金を科したことを発表した。シャーザーはこの決定に対して不服申し立てをする権利を有していたが、受け入れられる可能性が低いことや、移動日がある間に出場停止期間を消化したいチーム事情などからこれを行使せず処分が確定した。シャーザーの出場停止期間は日本時間5月1日までとなる。

シャーザーは日本時間20日のドジャース戦でダン・ベリーノ主審とクルーチーフのマーク・クッツィーに手の粘着性を咎められ、1度は手を洗い流し、グラブも交換してマウンドに戻ったものの、4回裏の投球前に再び粘着性を指摘され退場処分となっていた。MLB機構のレポートでは、「4回のチェックの際に認められた粘着性は、汗とロジンだけであるとするシャーザーの主張とは矛盾するほど極端な物であったと結論付けた」とされており、両審判の判断を支持している。

MLB機構はロジンの使用に関して「過剰に使用したり、グローブやユニフォームなど認められない場所に付着させたりした場合、審判が異物使用と判断して選手を退場させ、出場停止処分となる可能性がある」と各チームに通告している。シャーザーはこれに関して、「粘着性の客観的で定量的な測定をしているわけではないため、あるイニングで合法と判断されたものが、次のイニングでは汗をかいただけで違法と判断されることがあり、これが今回自分に起きた問題だ」と主張。過剰使用の線引きが不明瞭であることを批判し、将来的には不当に回転数を上げていないかどうかを科学技術を使用して判断するようになることを求めた。

メッツはジャスティン・バーランダー、カルロス・カラスコ、ホセ・キンタナの3投手が故障で離脱しており、シャーザーの出場停止は質だけでなく先発の数の面でも大きな痛手となった。本来6番手や7番手が想定されていたデービッド・ピーターソンやタイラー・メギルがローテーション上位を務め、2021年以来先発登板のないジョーイ・ルケーシーが日本時間22日の試合で先発予定。さらにもう1枚先発投手を追加する必要があるなど苦しい台所事情となった。

メッツのバック・ショウォルター監督は「誰もシーズンを中断したり、全員が健康になるまで待ってくれたりはしない」とコメント。「起きてしまったことは起きてしまったことであり、それに対処するしかないし、フロント陣は常にそうした事態に先手を打ってきた。(シャーザーが退場となった試合で)勝利することができたのは、その試合で投げる人員を確保する組織の先見の明があったからであり、これからもそうしていく」と前を向いた。チームはジャイアンツとの4連戦のあと、移動日を挟んで5月前半までの13連戦を控えており、フロントやベンチの投手運用とチーム力が試されることとなる。

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