孤軍奮闘、初日2番手のエバンスに「優勝争いを続けてもらいたい」とラトバラ代表/WRCクロアチア

 4月21日(金)、WRC世界ラリー選手権第4戦『クロアチア・ラリー』が、クロアチアの首都ザグレブで開幕した。競技初日は8本のスペシャルステージ(SS)が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR WRT)は、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)がトップ争いを繰り広げ総合2番手につけた。

 チームメイトのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合7番手。カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合8番手に続き、TGR WRCチャレンジプログラムにより4台目のトヨタGRヤリス・ラリー1で今戦に出場している勝田貴元/アーロン・ジョンストン組は総合5番手でラリー初日を走破している。

 2021年の初開催以来、3年連続3回目のWRC開催となるクロアチア・ラリーは、今シーズン最初の純粋なターマック(舗装路)ラリーだ。首都ザグレブに置かれるサービスパークを中心に、3日間で計20本のSSを走行。その合計距離は301.26kmとなる。

 今戦の競技開始前には、第4戦クロアチアに向けたテスト中の事故によって命を落としたアイルランド人ドライバーのクレイグ・ブリーンに対し、ラリー関係者一同が敬意と哀悼の意を表するセレモニーが行われた。

■エバンスがライバルを追撃

 20日(木)に行われたシェイクダウンとセレモニアルスタートに続き、ラリーは21(金)の朝から競技がスタート。デイ1はサービスパークの西側に展開する4本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行するスケジュールとなった。

 8本のステージの合計距離は130.18kmと、3日間で最長に。コンディションは午前中のステージはドライだったが、午後は一時的に雨が降ったことで一部の路面が濡れていたり、湿っている状態となり、タイヤ選択が分かれる要因となっている。

 2021年に行われたクロアチア・ラリーでオジエと最終ステージまで優勝を争い、僅か0.6秒差の総合2位でフィニッシュしたエバンスは今大会、SS1こそ5番手タイムとやや出遅れたが、その後は安定して2、3番手タイムを刻み総合2番手でラリーを進めていく。デイ1最終のSS8ではベストタイムを記録し、首位につけるティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)と5.7秒差の総合2番手でデイ1を走破した。

■オジエがSS1ステージベストの好スタートを切ったが……

 開幕3戦を終えた段階で2戦2勝をマークしドライバー選手権でランキング首位に立っているオジエは、SS1でベストタイムを刻む好スタートを切った。しかし、続くSS2では路面からの衝撃でホイールがダメージを受け、コース上に停車しタイヤ交換を行なったため大幅にタイムを失ってしまう。

 その後は3本のSSでベストタイムをマークするなどして追い上げ、総合5番手で1日を終えたが、SS2の再スタート時にハーネスが適切に固定されていない状態で走行したとして、60秒のタイムペナルティが課された。これによりオジエは総合7番手に順位を下げている。

 ロバンペラもオジエと同じ場所でホイールにダメージを負い、タイヤの交換作業を余儀なくされる。この影響でトップから2分以上遅れることとなった現王者は、午前中のステージでは良いフィーリングを掴むことができずに苦戦。午後はフィーリング、タイムともに向上させたが、順位はラリー1勢最後尾の総合8番手となっている。

■ラトバラ代表「ラリーはまだ2日ある」

「難しいステージが続いた1日で、少し複雑な心境だ」と語るのはチーム代表としてTOYOTA GAZOO Racing WRTを率いるヤリ-マティ・ラトバラ。

「今朝の最初のステージでは、セブ(セバスチャン・オジエ)を中心にすべてがうまくいっているように見えた。ところが、セブとカッレ(・ロバンペラ)はまったく同じ場所でクルマを停め、ホイール交換をしなければならなかった」

「ふたりとも、路面が盛り上がっているところに当たってしまったようだが、残念ながら衝撃がかなり大きかったのだろう。大幅にタイムを失ってしまったのは残念だが、それはよくあることだ」

「一方、エルフィン(・エバンス)は午前中のステージをうまく走り切り、自信を深めていくのがわかった。そして午後からはハードにプッシュし始め、首位との差をどんどん縮めていったので、明日も優勝争いを続けてもらいたい」

「セブとカッレはこのまま走り続け、どうなるのか展開を見たいと思う。ラリーはまだ2日あるし、このラリーでは日曜日の最終ステージが終わるまで、何も決まらないことを私たちは知っている」

 SS9~16が行われる22日(土)のデイ2は、サービスパークの南西エリアで4本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行する。このうちSS11/15“ラヴナ・ゴラ-スクラド”は、今大会唯一の新しいステージだ。ラリー2日目に実施されるSSの合計距離は116.60km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は793.98kmとなっている。

© 株式会社三栄