いわきFCの新スタジアムが誕生へ!大倉智社長「主語はいわきFCではなく地域」「コンセプトが全て」

J2のいわきFCは19日、スポーツ庁による令和5年度スポーツ産業の成長促進事業「スタジアム・アリーナ改革推進事業」採択を受け、契約予定者となったことを発表した。

スタジアム・アリーナ改革は、国が策定する「成長戦略フォローアップ」(令和3年6月)においてスポーツの成長産業化の施策の一つとして位置付けられており、「多様な世代が集う交流拠点として2017年から2025年までに20拠点を実現する」ことを成果目標としている。

その成果目標の達成に向け、地域特性や選定の基準となる要綱等を踏まえた、他地域の参考となり得る先進的なスタジアム・アリーナ整備に関わる整備手法を含む具体的な構想・計画の策定支援をすることが目的だ。

今季、J2初昇格を果たしたいわきFC。ホームとして使用しているのは「いわきグリーンフィールド」だ。

今季開幕を前に観客席の増設や照明設備の設置などの改修が施されたが、収容人数や屋根など施設としては現在もJ2基準を満たしておらず。クラブは例外適用によるJ2ライセンスの交付を受けている。

いわきFCがJ2以上のカテゴリーを維持するためには、以下のスケジュールでのスタジアム整備が必要となる。

  • 2025年6月末までに場所・予算・整備内容を備えた具体的なスタジアム整備計画をJリーグへ提出すること
  • 2027年6月末までに着工し、2030年まで(2031年シーズンの開幕まで)に完成、興行開催が可能となること

「スタジアム・アリーナ改革推進事業」採択を受け、いわきFCを運営するいわきスポーツクラブが主体となり、行政や関連団体の支援・協力を仰ぎながら、Jリーグが定める理想的なスタジアムを整備。

さらには、福島県浜通り・いわき地域の未来を拓き、地方中核都市の先進モデルとなり、日本のスタジアムビジネスを先導するような「新たなスタジアム像」を提示することが今回、事業としての最大の目標になる。

いわきFCの大倉智社長は19日に行われた記者会見で新スタジアムについて、以下のように語っている。

いわきスポーツクラブ 代表取締役 大倉智氏

「(前略)少し私が妄想するスタジアム像をお話ししたいと思います。

これから協議会、分科会を立ち上げ、1年間かけてスタジアムの存在意義を『まちづくり視点』、『ビジネス視点』の2軸からディスカッションしていきます。私が思う大切なポイントは、主語はいわきFCではなく、地域だということです。いわき市、双葉郡、浜通りを中心とする地域です。

そして、もう一つの大切なポイントは、場所ありきではなくコンセプトが全てということです。場所の議論から入ると、スタジアムの存在意義が後付けになってしまいます。我々の興行は多くても年間25試合です。スタジアムでコンサートやコンベンションが開催され交流人口が増えることは容易に想像つきますが、私は、スタジアムが地域にある様々な課題を解決するものであって欲しいと思っています。子育て、防災、環境、農林水産業、観光、文化・スポーツ、部活問題。再生可能エネルギー、水素、F-REI、アカデミア、UNIVASなどなど、キーワードはたくさんあります。スタジアムが様々な研究の実証実験の場となり、スタジアムが新たな産業を生み出す場になって欲しい。そして、最終的にスタジアムがあることで、子供たちの未来が輝き、人材が育つということです。まさに、スタジアムではなく『ラボ』のようなものです。夢のような話かもしれませんが、皆さんで知恵を絞れば、唯一無二のスタジアムが必ずできると思っています。

本日は、内田市長、小野会頭にもご出席をお願いしました。今後ご両名には、人づくり、まちづくりの視点から、またビジネスの視点から様々なアドバイスを頂きたいと思っています。引き続き、よろしくお願いいたします」

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いわき市の内田広之市長、いわき商工会議所の小野栄重会頭も期待を寄せる、「いわきモデルの新スタジアム」。

地域リーグから階段を一つずつ着実に登っていわきFCのもと、プロジェクトがいよいよ本格的に動き出す。

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