「何も得はしていない」「オーバー、アンダー、オーバー」「SF19とそんなに変わらない」【SF Mix Voices 第3戦予選(1)】

 全日本スーパーフォーミュラ選手権は4月22日、三重県の鈴鹿サーキットで2023年第3戦の予選が行われ、大湯都史樹(TGM Grand Prix)がポールポジションを奪った。

 予選後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、ドライバーたちがフリー走行と予選について語った内容を2回に分けてお届けする(後編はこちら)。

■太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 予選不通過

 午前中のフリー走行では17番手のタイムを記録した太田。だが、Q1アタック直前にジェム・ブリュックバシェ(TGM Grand Prix)と交錯してしまい、満足なアタックができずに予選を終える形となったばかりか、走路外走行によりタイム抹消、さらには走路妨害があったとして3グリッド降格のペナルティを受けた。

「予選はすごくフィーリングも良くて、いけそうだったんですけど、集団の最後に出て行ってしまって、結果的にジェム選手を邪魔してしまうことになってしまい、ペナルティ(走路妨害)を受ける形となってしまいました」と太田。

「(ジェム選手を妨害してしまったことは)正直どうしようもなかったですし、出て行ったところが悪かったというしかないですね。邪魔しないように最善は尽くしたのですけれど、結果的にジェム選手と交錯してしまいました」

 太田によれば、アタックラップに入る前、前方のスペースは充分に空けていたというが、日立Astemoシケインに入ったところで大幅にペースを落とした前車に対して“待つ”形となり、そこへ後方からブリュックバシェが追いついてきた、という状況だったという。

「その影響で、シケインの立ち上がりも鈍くなってしまって、アタックラップは丸々1周ジェム選手の後ろを走ることになってしまったので、まったくタイムは伸ばせずじまいでした」

 予選を迎えるにあたってはかなりの手応えを感じていたようで、太田は悔しさを隠そうとしない。

「今回は、ドライビングとクルマの両方にポテンシャルを感じていたので、今日の結果はめちゃくちゃ悔しいです」

「(クルマのポテンシャルは)かなり良さそうに感じていましたし、アタックの前の周も練習走行よりもフィーリングが良さそうでしたので、Q1は結構自信がありました」

「なので、それが結局不完全燃焼で終わってしまったことがすごく残念です」

■関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 予選19番手

 午前中のフリー走行では13番手タイムを記録していた関口。予選にかけて改善の兆しを見出すことも難しく、明日の決勝は19番手からのスタートとなった。

「(今日は)フリー走行からあんまり調子は良くなかったです。予選に向けても、これといった解決策が見つけられないまま走行に臨むかたちとなってしまいました。(クルマの状況は)アンダー(ステア)とオーバー(ステア)が両方出てくるような状態でした」と、振り回される挙動に苦しんでいる様子。

「(3月の公式合同)テストの時はこの症状は無かったのですけれど、(テスト時よりも)気温が上がってダウンフォースが減ってしまって、タイヤのキャラクターも変わっていたように感じました」

 テスト時からの車の突然の変化に、手を焼いている様子の関口に、車の挙動についてもう少し踏み込んで尋ねると、「もうオーバー、アンダー、オーバーと、結構オンパレードな状態です(苦笑)」と、手に負えない状況のようだ。

「最初にオーバーが出て、(アクセルを抜いて)それを抑えて、再びアクセルを入れるとアンダーが出て。(それを曲げようとすると)ステアリングをそこで切り足した分の“お釣り”が来てオーバーになってしまって、その影響でこのラップタイムになってしまいました」

 その症状はなかなかに深刻なようで、取材の合間にふと流れる沈黙も、向上の糸口を見出せずにいることを伝えていた。

2023スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

■山下健太(KONDO RACING)予選4番手

 第2戦の表彰台獲得に引き続き、フリー走行3番手、予選4番手と好調を維持している山下。だが、山下にとってSF23での鈴鹿の走行は、この第3戦が初めてのタイミングとなる。その印象の変化については、「SF19の時とそんなに変わらないですね。車の違いというよりも、タイヤの違いの方が大きいように感じます」という。

「(タイヤが)つぶれていく動きが出てきてしまうんですよね。そうすると、クルマの動きが大きくなってしまいますし、タイヤのグリップも不安定になってしまう」

「なるべくそれを抑えようとセッティングしているのですが、一方が良くなればもう一方が悪くなるという、いたちごっこになってしまっていて。まだシーズンは序盤なので、これから詰めていければと思います」

 午前中の練習走行ではトップからコンマ1秒差のタイムを記録しており、「予選は結構狙っていた」と語る山下だが、全体が大幅にタイムアップしたQ2では、トップとの差が開いてしまったかたちとなった。

「(アタックは)結構うまく決まった方なのですが、トップからはコンマ2〜3秒ほど離されてしまいました。位置取りの関係で、フロント(タイヤ)を温めきれなかったのもあるとは思うのですけれど、それを差し引いてもこの差は大きいですね」
 
 フロントタイヤのスクラブはせずにアタックに入ったという山下は、「そもそも、アタックを計測1周目にするか2周目にするかを悩んでいたので、(スクラブは)あまり考えていなかったです。ですが、結果的には(スクラブを)していた方が良かったのかもしれないですね」と、フロントのスクラブをしていたポールポジションの大湯を横目に語る。

 決勝のロングランペースについては、「鈴鹿のロングはまた別ですが、富士の感じだと悪くないのかなと思います。明日の練習走行で確かめられればなと思います」とやや前向きだ。

 第2戦富士での復調もそのままに、第3戦鈴鹿も好調な様子の山下。23日の決勝では、どこまでトップ争いに絡むことができるだろうか。

2023スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 山下健太(KONDO RACING)
2023スーパーフォーミュラ第3戦鈴鹿 太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

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