「核なき世界」どう発信 G7テーマに市民講座 核兵器廃絶長崎連絡協議会

G7広島サミットの注目点を話す西田さん(右から2人目)=長崎市平野町、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 長崎県と長崎市、長崎大でつくる核兵器廃絶長崎連絡協議会の「核兵器廃絶市民講座」が22日、同市内であった。5月に広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)をテーマに、同大多文化社会学部の西田充教授(軍備管理・軍縮・不拡散)らが講演。「『核なき世界』というビジョンと道筋をどう深掘りし、発信していくのか」と注目点を語った。
 登壇者はこのほか、中国新聞ヒロシマ平和メディアセンターの金崎由美センター長、同大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の吉田文彦センター長。オンラインを含め計125人が聴講した。
 西田氏は2000年代のサミットについて内容や形式、当時の情勢を解説。「核なき世界」については、09年の米オバマ政権時に首脳レベルで初めて言及し、16年に再確認。外相レベルだが、被爆地の被害に触れ、核廃絶を目指す被爆者の願いを共有した「広島宣言」を採択したとして、「一連の流れの中では非常に特異な存在」と強調した。
 今回のG7外相会合で広島宣言に類似する文言が復活したとして「首脳レベルが、自分たちの言葉でどのように議論を深め、反映していくか。首脳宣言に注目している」と述べた。
 一方、金崎氏は、広島市内での盛り上がりや市民生活への影響を伝え、市民らから各国の首脳に対し「原爆資料館をじっくり見学してほしい」「被爆者と面会し証言に耳を傾けてほしい」などの声が上がっていると紹介。「われわれもG7広島サミットでの議論を見守るだけではなく、話題にすることが非常に大切。核なき世界の追求を言い続けることが広島と長崎の役割」と話した。

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