龍安寺にも使われる「白川砂」、京都市売却へ 近年川底に大量堆積、財政難の一助に

龍安寺の石庭(京都市右京区)

 京都市は、古くから京都の庭園に用いられ、上質な砂として名高い「白川砂」の売却に乗り出す。採取には京都府の許可が必要で希少価値が高く、市が水害防止のために白川で採取している砂を有効活用する。豪雨が頻発する近年は上流から白川砂が大量に流れ込むようになっており、防災対策に加え、厳しい市財政への一助にする。

 白川砂は、白川上流から流れ出た土砂で、粒子のきめ細かさと美しさが特徴。龍安寺(右京区)など京都を代表する寺社の庭園に使われてきた。河川法により鴨川や高野川などでは採取が禁止され、禁止されていない白川でも乱獲防止のため、採取には府の許可が必要になる。

 歴史ある白川砂も河川管理という面では「天敵」といえる存在。白川上流からの土砂を放置すると川底にたまり、大雨による増水時の災害につながりかねないからだ。

 市は沈砂池に土砂をため、毎年1、2回除去工事を実施して埋め立て処分している。近年の豪雨により処分量も増え、2021年度は沈砂池の容量ぎりぎりの3千立方メートル弱を、約3千万円かけて処分した。

 市は有効活用に向け府と協議を進め、売却の道を探った。今年1月に市内の建設業者や造園業者など約50社に確認したところ、白川砂の置き場の問題から50立方メートル程度と量は多くないものの、購入を希望する声が複数あった。処分費用を現在よりも安く請け負うことができると回答した業者もあったという。

 市は新年度、白川砂の価格設定を行い、売却方法を検討する。市河川整備課は「白川砂に付加価値をつけることでニーズを掘り起こし、売却量を増やしていきたい」としている。

 白川砂は琵琶湖疏水(第1疏水)の川底にも堆積し、市が毎年除去工事を行っているが、一部区間で水を止めて工事を行っているため土砂の管理や採取が難しく、現時点で売却の予定はないという。

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