世界遺産「潜伏キリシタン」構成 平戸・安満岳山頂に休憩所 新たな歩道も完成

供用開始を祝い、休憩所で披露された平戸神楽=平戸市、安満岳

 世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産、長崎県平戸市の安満岳山頂を訪れる観光客や市民のため、同市が山頂近くに休憩所と新たな歩道を整備した。現地で23日、オープニングセレモニーがあり関係者が供用開始を祝った。
 休憩所は木造平屋約48平方メートル。来訪者にくつろいでもらうほか、天候が急変した場合の退避場所としての利用を想定している。設置場所には以前、白山比賣(しらやまひめ)神社の建物があったが、台風のため倒壊し、3年前に更地になっていた。神社庁などと協議し、市が無償で土地を借りている。
 休憩所までは250メートル超の石積み参道があるが、雨などでぬれると滑りやすいため、来訪者の安全性、利便性向上のため新たな歩道(幅2メートル、全長約350メートル)を設けた。
 セレモニーには関係者ら約150人が出席し、黒田成彦市長らが供用開始のテープカット。黒田市長は「山頂の絶景地を休憩地とした。今後、市内周遊の拠点などとして活用されることを期待する」とあいさつした。国指定重要無形民俗文化財、平戸神楽が奉納され、施設の完成を祝った。
 安満岳(標高536メートル)は2018年、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」構成資産に登録。山頂付近には同神社、仏教寺院跡、潜伏キリシタンの聖地があり、異なる宗教が寄り添う祈りの場となっている。

テープカットする黒田市長(中央)ら

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