平戸の町屋をほのかに照らす 夜の明かりでにぎわい創出へ まちづくり運営協議会

町屋の外壁などがライトアップされ、昼間とは違う景観が創出された街並み=平戸市崎方町

 長崎県平戸市中心部の旧平戸城下町地区で街並みを淡い光で照らすライトアップ事業「ほのあかり」が本格的に始まった。地元の市民団体、平戸まちづくり運営協議会(谷田美幸会長)が、広域の誘客や訪日外国人客誘致につなげようと企画。初の取り組みとなった同市崎方町の県道沿いでは、軒先や塀が発光ダイオード(LED)照明で浮かび上がり、美しい景観を演出している。点灯は午後10時まで。
 同協議会は2026年度までに旧城下町地区9町(崎方、浦の、宮の、木引田、紺屋、魚の棚、職人、新、築地)を対象に照明設備の設置を進める。初年度の22年度は、国内各地の夜間景観計画策定に関わる照明デザイナー、長町志穂さんを招いた講演会をするなど、機運醸成に取り組んだ。
 11日の点灯式には、同協議会関係者、市民ら計約100人が参加。谷田会長が「ほのあかりが街のにぎわいにつながることを期待している」とあいさつ。黒田成彦市長が「夜間景観の整備は平戸滞在時間延長や宿泊客増などにつながる。市も連携していく」などと述べた。式後、元海運業兼船宿だった築100年以上の木造2階建て、戦前の木造3階建ての元旅館などに設置された照明を一斉に点灯。集まった市民は「良かね。自宅でもしてみようか」などと話し、ライトアップを楽しんだ。

ライトアップされた木造3階建ての町屋=平戸市崎方町

 同協議会は対象地区の住民、事業者に照明、ライトアップによる効果などを説明する会合を続ける。市は本年度中に夜間景観基本計画を策定し、地区内の光の演出についてガイドラインを設ける準備を進めている。さらに県も、県道の街路灯の照度を可能な限り抑え、事業を後押ししている。
 旧城下町地区では市と地区内有志が05年度から19年度まで、現存する古い町屋を参考にするなどして、家屋を改装する「街並み環境整備事業」を実施。168棟が自己資金と市の補助を合わせて外観に統一感を持たせている。市も県道のカラー舗装や電線の地中化などに取り組んできた。

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