面接なしで即雇用「スキマバイト」福井県内でも広がる 飲食や物流…マッチングアプリのタイミー活用

アプリを利用し、空いた時間に倉庫で入出荷作業を行うアルバイトの女性=福井県坂井市坂井町東長田のカンパネラ倉庫

 人手不足に悩む福井県内の商業や物流業界で、「スキマ時間」を活用するアルバイトのマッチングサービスを利用する事業者が増えている。業務の急な欠員や繁忙期にも即座に人員を確保できるのがメリット。働き手は面接などが必要なく、空いた時間にバイト代を稼ぐことが可能で、新たな働き方や人材確保策として注目を集めている。

 「スキマバイト」のアプリの中で有名なのが「Timee(タイミー)」(東京都)だ。2018年から事業を開始し、登録者は全国で400万人を超えた。企業は時間や求めるスキルを設定するだけで、条件に合った働き手を確保できる。求人掲載は無料で、料金はマッチングした働き手に支払う報酬の30%と振込手数料がかかる仕組み。

 県内で飲食店などを経営する「O3dining」(本社福井市、大岡亮平社長)は、今年1月からタイミーを利用。市内のアウトドア総合レジャー施設「ルポの森」や居酒屋「翠翔」の配膳、食器洗いなどのバイトを確保している。

 大岡社長によると、県内飲食業界は新型コロナウイルス禍からの需要回復で、バイトの獲得競争が激しい状況。人手不足に悩むが、タイミーで募集するとすぐにマッチングできるという。店の業務に慣れた働き手を長期のバイトとして引き抜くことが可能で「紹介料などを払わずに、ワーカーと直接雇用契約できるのが魅力」と話す。

 アウトドア用品店運営などのカンパネラ(坂井市、平岡和彦社長)は、インターネット通販サイトのイベント開催時に出荷数が大幅に増えるため、繁忙期の倉庫業務の求人で利用している。担当者は「どうしても人員がほしいタイミングで確保できる。急な欠員にも即日でマッチングできる場合がある」とメリットを強調する。

 福井市のショッピングセンター(SC)エルパを運営する協同組合福井ショッピングモールも、イベントスタッフなどの確保で利用。担当者は「登録ワーカーの評価を事前に確認できるし、募集してもすぐに充足できるので、今後も活用していきたい」と話す。

 タイミーの登録者は学生や主婦、ダブルワークの人が多い。カンパネラでバイトした坂井市の主婦(49)は「面接が必要ないし、空いている時間があったらすぐにタイミーで探している。勤務日などが固定されるのがあまり好きではないので、自分の働き方に合っている」と満足げだ。バイト報酬も即座に入金されるという。

 人材コンサルティングなどの「akeru(アケル)」(福井市)は昨年末にタイミーの代理店となった。大連達揮社長は「正社員にこだわりのない若者が増え、人々の働く意味合いが変化する中、スキマ時間を利用するといった新たな働き方が今後どんどん増えていく」と話している。

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