長崎、大村市議選 維新、参政が長崎県内初議席 他党警戒を示し衆院選へ態勢強化

 23日投開票された統一地方選後半戦のうち3市議選(長崎、佐世保、大村)は、日本維新の会が計3議席、参政党が1議席を得た。長崎県内議会に足場のなかった新勢力の台頭に、他党は警戒感を示し、次期衆院選に向けた態勢強化や戦い方の再構築を急ぐ。
 昨年5月に県総支部を設立した維新。前半戦の県議選は獲得議席ゼロに終わったが、長崎市議選に5人、大村市議選に1人を擁立。長崎2人、大村1人の地方議員を誕生させた。山田博司幹事長は「一定浸透してきた結果だと思うがまだまだ。さらなる党勢拡大を目指す」と強調。衆院選に備え、現在約千人の党員を増やすことに力を入れる。
 国政政党として初の統一地方選に挑んだ参政党は、大村市議選で1人当選。松石宗平長崎支部長は「地方選挙は政党票だけでは難しい。候補者の地域に根付いた活動が評価された」。今回の議席獲得を足掛かりに「国政選挙の票にもつなげたい」と見据える。
 全国的な両党の勢いを「一過性ではない」とみるのは自民党県連の徳永達也幹事長。新勢力の地方浸透を注視し「(各市議選の上位当選の顔ぶれをみて)組織票だけでは厳しくなっている。結果をしっかり総括し対策を取っていく」と話す。
 長崎市議選で公認・推薦合わせ6議席(現有4)に積み増した国民民主党県連の深堀浩幹事長は「目標はクリアしたものの現職が票を減らし、維新や無所属の議席獲得につながった」と分析。衆院選が「いつあってもおかしくない」と常在戦場の構えで、近く常任幹事会を開く。
 立憲民主党県連の山田朋子代表は、女性議員の多さなど党のカラーや他野党との違いを明確にする必要性を強調。長崎市議選で若手無所属新人が1、2位で大量得票したのを引き合いに「交流サイト(SNS)の効果もある。ネット戦略にもさらに力を入れなければならない」。
 「本県に維新や参政党の足場ができ危機感を抱いている」。そう話すのは公明党県本部の川崎祥司幹事長。衆院選は自民との選挙協力で比例九州ブロックを主戦場とするだけに「新しい政党に票は食われやすい。間違いなく比例票に影響が出てくる」と警戒する。
 社民党県連の坂本浩幹事長は「(維新や参政党の)政策は自分たちと根本的に違う」と冷静に受け止めた。共産党県委員会の山下満昭委員長は、長崎市議選で現有3議席から2議席に減らし「痛恨の極み。維新や参政党、若い人の当選は政治を変えてほしいとの思いの表れだと思う。われわれに託してもらえるよう努力する」と述べた。

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