プラスチックに比べ3~4割の石油使用量が削減できる新素材! 最新のリサイクル工場を取材

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、最新の“プラスチックリサイクル工場”と“今後、注目の新素材”をキャスターの田中陽南が取材しました。

◆田中が最新のプラスチックリサイクル工場を見学

今回、田中は神奈川県・横須賀市にある環境に配慮した素材・商品の開発、資源循環の促進事業を行う企業「TBM」へ。そこには昨年11月に完成したプラスチックのリサイクル工場があります。

工場長の福山さんの案内のもと、中に入ってみると「大きな機械が!」と声を上げる田中。目の前にあるのは、受け入れたものの原料を単一素材化していく「自動選別ライン」です。

一口にプラスチックと言っても素材はさまざまで、その種類によってリサイクル方法が異なります。

このラインでは、まず人の手により小さな袋に入ったプラスチックを取り除いています。

続いては金属と非金属の選別。その方法は電磁力を活用し、金属であると認識するとエアーで対象物を飛ばします。

例えば、ポテトチップスの袋なども金属を含んでおり、そうしたものを金属と識別し、仕分けています。

さらにポリエチレンと呼ばれるプラスチックの材質を近赤外線の技術を使って選別。近赤外線を当て、透過する光と反射する光を測定することで成分を判別しています。

こうした技術を用いて「ポリエチレン」、「ポリプロピレン」、「ポリスチレン」、「PET」、「PVC」の5種類に選別し、それぞれを細かく砕いて洗浄。

原型をとどめていない小さなサイズにしたところで、次に熱を加え、細長い状態に加工します。そして、水で冷やしながら最終的に小さく切り刻み、「ペレット」と呼ばれる成形した素材に仕上げます。

そうしてできた再生プラスチックは、ゴミ袋や傘などの新たなプラスチック製品に生まれ変わります。

◆プラスチックに置き換わる注目の新素材「LIMEX」

プラスチックのリサイクルに果敢に取り組むTBMですが、昨今、新たに開発した新素材「LIMEX」が注目を集めています。

TBMのコミュニケーション・ディレクターの菊田さんによると、それは石灰石を主原料としたもので「プラスチックや紙の代わりになるような新素材」と説明。

すでに食べ物の容器やクリアファイル、うちわに飲食店のメニュー表など、さまざまな場面でプラスチックの代替品として活躍しています。「LIMEXを使うことで、環境に配慮した素材を使っていますというような発信を一緒にしている」と菊田さん。

LIMEXを使うことでどんなメリットがあるかといえば、「石油の使用量削減」。

さらに、製品を作るまでの工程における二酸化炭素排出なども抑制できるそうで、菊田さん曰くプラスチックがLIMEXに置き換わると、約3割~4割程度の石油使用量削減が見込めるそうです。

スタジオでLIMEX製品を手にしたインスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは「プラスチックよりももう少し強そう」、株式会社POTETO Media代表取締役の古井康介さんは「結構しっかりしていて、めちゃめちゃ硬い」とその印象を語ります。

慶應ビジネススクール2年(MBA)の池田颯さんは、LIMEXでできたビニール袋を触り「既存のものと変わらないし、違和感がない」と話します。

LIMEX製のパンフレットを手にしたキャスターの堀潤は「質感がしっとりしていて、且つしっかりしているから高級感があり、耐久性が強い紙のような感じで長く使えそう」と好印象の様子。

また、堀は最新のリサイクル工場の様子に「すごい技術」と脱帽しつつ、一方で「私たちの家庭でももっとできることがあるんじゃないかと思った。最初から分別したり、キレイに洗ったり、そうした細かい所作で現場の負担を減らすことができるのかもしれない」と反省。

池田さんは「この会社『TBM』はめちゃくちゃ最強で、日本でも数少ない(今後が期待されている)ユニコーン企業」と絶賛。その企業価値は1,000億円以上で、日本の技術力を活かして世界を目指す数少ない企業のひとつとあって「この製品はもちろん、会社のビジョンまで本当にすごい」と熱弁します。

能條さんは、LIMEXの技術・性能に「もっと広がれば」と望む一方で、リサイクルの過程を見ると、そこにも水やエネルギーを必要とすることもあり「やはり、そもそも単一利用、1度しか使わないで捨てていくようなことはやめないといけない」と再確認。

これに堀は頷き、「消費の現場、生産の現場、その両輪が変わらないといけない。リサイクル・リユースの部分もどんどん技術革新を進めていかないといけない」と話していました。

なお、日本におけるプラスチックの処理状況を見ると、焼却や埋立などの単純処分が13%程度。そして、燃料として燃やす「サーマルリサイクル」が約63%と大部分を占めています。一方で、今回のような再生利用「マテリアルリサイクル」は2割程度にとどまっているということです。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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