池袋暴走事故から4年 進む社会のその先に 遺族の“心の変化”と“強くなる思い”

池袋で親子2人が亡くなった暴走事故から4月19日で4年が経ちました。愛する妻と娘を亡くした松永拓也さんは、いま…。事故から4年が経つ中での心の変化、そして強くなる思いに迫ります。

4月19日、午後0時23分。4年前のこの日、この時間、この場所で2人の尊い命が突如、失われました。
松永さん:「4年という月日が経って、心配かけないように生きていかなければならないなと」

暴走事故が起こる前、松永拓也さんが妻の真菜さん、そして娘の莉子ちゃんと暮らした思い出がつまった部屋を訪れると、積み上げられた段ボールが…。3人が幸せに家族のだんらんを過ごしていたころからは、大きく様子がを変わっていました。

松永さん:「刑事裁判が終わってから部屋の片付けをし始めた。きれいにして自分が前に進んで生きていくために、片付けようときっかけで始めた」

段ボールの中には家族の写真も。事故から約2年半が経ったおととし9月に刑事裁判が終わり、3人で過ごした部屋の片づけを始めたといいます。

松永さん:「思い出は思い出として、愛する気持ちは愛する気持ちとして、心に持ちながら今を生きようと思うようにしている」

4年という歳月を経て起きた心の変化。それは「2人のためにも前を向いて生きていく」という思いでした。

ようやく前向きな言葉が出るようになった松永さんには、こんな生活の変化もあったようです。

松永さん:「元々野球やるのが好きで。小学校1年生から野球をやっていたので、事故の直後から野球やる力がなくなってしまって、2年くらいやめていたけど、野球もまた始めて」

大好きな野球も去年から再開し、月に2回ほどの草野球が楽しみの1つになっているということです。

松永さん:「残された身ですけど、遺族ですけど、好きなことやったりするのも、自分の人生生きるためには大切なことだと思うようになって。真菜と莉子が見てくれているとしたら、その方が安心すると思うので」

月日が経ち、気持ちに変化がある一方で、日を追うごとに強くなる思いもあります。

「2人の命を無駄にしない」

松永さん:「悲しければ悲しいほど、苦しければくるしいほど、こんなことだから(交通事故は)起きちゃいけないんじゃないかと。だから悲しさを力に変えて、真菜と莉子の命を無駄にしないために、2人のためにも自分のためにも活動を続けたい」

2人への愛とともに強くなっていく思い。その思いを力に変えて、松永さんは、また1つ新たな取り組みを行動に移そうとしています。

事故当日に真菜さんと莉子ちゃんがはいていた靴。松永さんは、2人が生きた証しであるこの靴を、命の大切さを伝える「生命のメッセージ展」に寄付することを決めました。事故で命を奪われた2人の遺品である靴を等身大のパネルと一緒に展示することで、事故の再発防止を広く訴えていこうとしています。

松永さん:「等身大のパネルを自分で作ってそこに2人の顔写真を貼って、靴を足元に置く。今後の再発防止とか命の大切さを、後世に伝えていくことにつなげようと思っている」

事故から4年。松永さんは事故のない社会を願い、「思い」を伝え続けます。

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