サルを99.9%検出するAI開発、悪さする個体捕獲へ 画像から識別、ほくつう福井支社や北陸電力

AIが検出したサルの画像
サルを捕獲するおり付近にAIシステムのカメラ(右端)を設置した実証実験現場=福井県鯖江市内

 サルによる人や農作物の被害軽減を目的に、情報通信システム開発などのほくつう福井支社(福井県福井市問屋町2丁目)や北陸電力(本店富山県富山市)などは、カメラの画像からサルを識別・検出するAI(人工知能)システムを開発した。定点カメラによる実証実験では99.9%の精度でサルの検出に成功。危害を及ぼす特定個体の識別に向けた開発も進めており、捕獲の初動対応や警戒に役立てていきたいとしている。

 AIシステムは、樹木などに取り付けたカメラが動物の熱を感知して自動で写真を撮り、画像データを送信。サルが写る画像だけを検出しリアルタイムで自治体担当者らにメールで伝える仕組み。

 AIシステムは両社とAI研究開発のガルム(東京)が共同開発。デジタルトランスフォーメーション(DX)技術で地域課題を解決する事業を支援する福井県の「CO-FUKUI未来技術活用プロジェクト」の採択を受け、2022年9月から開発を進めてきた。

 同県鯖江市内などの山林で約半年間、約20台のカメラを設置して実証実験を行った結果、動物の中からサルだけを検出する精度は99.9%。雄や雌、大人か子どもかを見分ける性年齢の識別は70%だった。

 また、サルには人や農作物に危害を加える個体とそうでない個体がおり、無計画に捕獲すると群れが分裂して被害地域が拡大する恐れがあるという。悪さをするサルだけを捕獲することが有効で、実験で特定のサルを事前登録した結果、個体を識別できた精度は52%だった。

 23年度もサルの生息調査に取り組む鯖江市などと連携して実証実験を続け、個体識別の精度などを高めていく計画。ほくつう福井支社の担当者は「今後は、おりなど捕獲装置とAIシステムの連動についても検討を進めていきたい」と話していた。

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