令和の“アイアンマン” 蝉川泰果は3モデル混じりのコンボセット

「関西オープン」でプロ初優勝を果たした蝉川泰果。バッグの中をのぞいてみるとアイアンがびっしりある。3IからUW(ユーティリティウェッジ)まで、モデル違いでまさに9本。ホットな14本をひも解いてみよう。

ミスの“傾向変化”に合わせてスペックも変化

ピン G430 LST ドライバー(ロフトは1度立てて8度に)(撮影/大澤進二)

1Wは昨年の「日本オープン」時に変えた「ピン G430 LS」のまま。元々スピン量が多いタイプの蝉川は、「G430」 をテストしたときも「LS(ロースピン)」一択で、他のモデルを打っていない。当時は「左のミスを消したい」というリクエストから、可変ウエートをフェード側に設定し、スリーブをフラット目、かつロフトも8度に立ててつかまりを抑えていた。しかし今季は国内ツアー開幕戦から「右へのミスを減らしてつかまった球が欲しい」というリクエストに変わり、可変ウエートのポジションをスタンダードに戻した。

年明けからPGAツアーをはじめ海外ツアーに出場。右に滑るような球が出るケースが増えていたため、今はクラブに“つかまり”を求めているとのこと。3Wではテーラーメイドの「ステルス フェアウェイウッド」から「ステルス2 フェアウェイウッド」にチェンジした。

アマチュアにも人気のモデルをロングアイアンとして採用(撮影/大澤進二)

ロングアイアンの代わりとして、これまでピンのUTアイアン「クロスオーバー」を入れていたが、「グースの強くないタイプのアイアンをテストしたい」(蝉川)と「i525アイアン」を試したところ、それがハマった。いわゆる飛び系のアイアンで、ロフト18度(3番)をチョイスしている。

ピン ブループリント アイアン(4番~9番、W)(撮影/大澤進二)

4番~U(PW)はピンの「ブループリント」。ストレートネックが好みの蝉川にとって長年使い続けている高校時代からの“相棒”で、まさにセッティングの核となるモデル。こちらも「スピンを抑えたい」という理由から、シャフトが「NSプロ モーダス3」の“ステップ無し”に。

ブループリントのWは46度、i230のUは50度(撮影/大澤進二)

その下はピン「グライド4.0」のウェッジ3本体制だったが、「スピンがかかり過ぎてしまう」(蝉川)という理由から、50度のウェッジを「i230アイアン」のUW(ユーティリティウェッジ。50度)にスイッチ。UWとは、いわゆるアイアンセット内のウェッジで、グリーンを狙うショットでほどよくスピンを抑えられるとか。こちらのシャフトは、同じモーダスの「NSプロ モーダス3 システム3 ツアー125」(ステップあり)を選んでいる。

56度と60度の「グライド4.0」は継続して使用中で、シャフトはi230と同じモーダスのステップありだ。

ピン PLD ミルド アンサー パター プロトタイプ(撮影/大澤進二)

パターはピンの「PLDミルドアンサーパター」で、「球の転がりが良くなる」(蝉川)という理由から溝を浅くしている。質のいい球の転がりは蝉川の強気のパッティングと相性が良く、すでにこのパターでツアー3勝。ちなみに、この“浅溝加工”はピンの直営店で可能だ。

昨年からのビッグチェンジと言えばやはりボールだろう。アマチュア時代はずっとタイトリストの「プロV1x」だった。プロ入りしてからスリクソンのボールへ。「ソニーオープンinハワイ」などの海外転戦中は「ZスターXV」を使用し、国内開幕から「Zスター ダイヤモンド」にスイッチしている。「ダイヤのほうが、しっとりとしてくっつき感がいい」と蝉川。1W同様、ボールにもよりつかまりを求めてのモデルチェンジのようだ。

アイアンがズラリ!(撮影/大澤進二)

令和のアイアンマンは今年あと何回勝利を重ねるのか。

<蝉川泰果のクラブセッティング>
ドライバー:ピン G430 LST ドライバー(8度)
シャフト:三菱ケミカル TENSEI プロ オレンジ 1K(長さ44.75インチ、重さ60g台、硬さTX)
フェアウェイウッド:テーラーメイド ステルス2 フェアウェイウッド(3番15度)
シャフト:三菱ケミカル TENSEI プロ オレンジ 1K(重さ70g台、硬さTX)
アイアン:ピン i525 アイアン(3番18度)、ピン ブループリント アイアン(4番~9番、W)、ピン i230 アイアン(U)
シャフト:日本シャフト NSプロ モーダス3 プロトタイプ(3I~W)、日本シャフト NSプロ モーダス3 システム3 ツアー125(U)
ウェッジ:ピン GLIDE 4.0 ウェッジ(56度、60度)
シャフト:日本シャフト NSプロ モーダス3 システム3 ツアー125
パター:ピン PLD ミルド アンサー パタープロトタイプ
ボール:ダンロップ スリクソン Z-STAR ダイヤモンド ボール

蝉川のバッグの中身をじっくりご覧ください

ステルス2FWのほかにG430FWも試している(撮影/大澤進二)
グリーンを狙うショットを意識してアイアンの流れのモデルをチョイス(撮影/大澤進二)
ピン GLIDE 4.0 ウェッジ。丸みを帯びたフォルムが特徴(撮影/大澤進二)
プロの間でも人気のダイヤモンドにスイッチした(撮影/大澤進二)

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