足利学校でアニメ上映へ  市観光協会が制作 市出身声優ら出演【動画】

足利市観光協会が制作したアニメーションの画像

 【足利】市観光協会は、昌平町の史跡足利学校を創建したとされる平安時代の公家小野篁(おののたかむら)を主人公とした14分間のアニメーションを制作し、25日に報道関係者を対象とした試写会を開いた。市出身の声優と俳優が篁に扮(ふん)して論語を分かりやすく解説する内容で、28日から足利学校内の復元建物「方丈」で上映する。同学校の年間参観者数は新型コロナウイルス禍前より数万人減少しており、担当者は「多くの人に見てもらいたい」と呼びかけている。

 篁は遣隋使の大使小野妹子(おののいもこ)の子孫で、絶世の美女とされる小野小町(おののこまち)の祖父。昼間は朝廷で働き、夜間は閻魔(えんま)大王の下で裁判の補佐をしていたという伝説も残る。諸説ある足利学校の創建者の一人とされる。

 アニメ化は、足利学校の魅力をより多くの人に知ってもらい、誘客につなげることが狙い。篁が「温故知新」などの由来となった12の名言を読み上げ、その意味を説明する。子どもも理解できる内容とした。

 キャラクターデザインはイラスト会社に依頼した。篁役は200本超の映画に出演する俳優川連廣明(かわつれひろあき)さんと、「バクマン。」など多くのアニメに出演する声優阿部敦(あべあつし)さんがそれぞれ担当した。完成を受け、川連さんは「足利学校で篁に扮し論語を素読するのは、誠に恐れ多い」、阿部さんは「地元に関われて、うれしい」とのコメントを寄せた。

 アニメは参観時間中、「方丈」内の「上の間」で常時上映する。アニメ化に関連し、身長188センチだったとされる篁の等身大パネルを展示し、売店では篁の絵馬も販売している。

 足利学校の2019年度の参観者数は約14万2千人だったが、コロナ禍の影響で20年度は約6万人に減少し、21年度は約10万9千人だった。同協会の金坂幸治(かねさかこうじ)常務は「足利学校は足利の文化のよりどころ。品格を保ちつつ、アニメなどでより親しみやすい施設にしていきたい」と説明した。

アニメーション化された小野篁
小野篁の等身大パネル
アニメ化された小野篁
アニメ化された小野篁

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