アルファタウリF1の代表トストが2023年末に退任。後任のメキースと新CEOによる新リーダーシップ体制がスタートへ

 スクーデリア・アルファタウリは、4月26日、チームのシニアマネジメント構造の変更を発表、2023年末で現チーム代表フランツ・トストがそのポジションから退き、代わって、現在スクーデリア・フェラーリでレーシングディレクターを務めるローレン・メキースが後任となることを明らかにした。さらに、今年中に、元FIAエグゼクティブのピーター・バイエルがCEOとしてチームに加入する。

 トストは、アルファタウリの前身スクーデリア・トロロッソが創設された2005年からチーム代表を務め、チームの発展において重要な役割を果たしてきた。トストのリーダーシップのもと、チームは、トロロッソ時代の2008年イタリアGPでセバスチャン・ベッテルにより初優勝を果たし、アルファタウリにリブランドされた後の2020年には、イタリアGPでピエール・ガスリーが勝利を挙げている。

2008年F1イタリアGP 初優勝を喜ぶフランツ・トスト代表とセバスチャン・ベッテル(トロロッソ)
2020年F1第8戦イタリアGP ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)が初優勝

 レッドブル社が所有するアルファタウリ/トロロッソは、レッドブル・レーシングの姉妹チームであり、同チームのために若手ドライバーを育成する役割も担っている。これまでトストは、4度のF1チャンピオンとなったセバスチャン・ベッテル、2度のチャンピオン、マックス・フェルスタッペンをはじめ、F1優勝経験者であるダニエル・リカルド、ガスリー、カルロス・サインツなど、大勢の優秀なドライバーたちを育て上げた。

 チームは、長年にわたるチームとドライバーへの貢献により、トストが2024年にはコンサルタントとして引き続きチームに関わることになったと発表した。

 後任となるメキースは、アルファタウリの前身、ミナルディ時代の2002年からトロロッソ時代に至るまで、10年以上にわたり、同チームで働いた経験を持つ。トロロッソでチーフエンジニアを務めた後、2014年、メキースはFIAにセーフティディレクターとして加入、2017年にはF1副レースディレクターとしての役割も担った。

フェラーリF1のレーシングディレクター、ローレン・メキース

 2018年にはスポーティングディレクターとしてフェラーリに加入。2019年にはヘッド・オブ・トラック&パフォーマンスエリアの役割も加わり、2021年以降はレーシングディレクターおよびヘッド・オブ・トラックエリアを務めている。

 トストからアルファタウリのチーム代表のポジションを引き継ぐメキースは、チームの、テクニカル、マニュファクチャリング、サポートファンクション、レースチームの運営など、チームの日々の運営に関する責任者となる。

 CEOへの就任が発表されたピーター・バイエルは、FIAにおいて2017年からスポーツ担当事務局長、2021年からF1エグゼクティブディレクターを務めた人物で、2022年6月にFIAから離れた。バイエルは、アルファタウリのCEOとして、チームの戦略的方向性を監督する役割を担う。バイエルとメキースは「同等の責任を持つ新しいダイナミックなリーダーシップチームを作り上げる」とチームは述べている。

FIAモータースポーツ事務総長を務めたピーター・バイエル

 チームは、声明のなかで、今回の大規模な体制変更について「長期的な安定性と継続性を確保することが目的」と説明している。

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