京都大や国立天文台などの研究グループは、オリオン座の恒星表面で起きた巨大爆発現象「スーパーフレア」を観測し、爆発に伴って噴出されたプラズマのガスの塊「プロミネンス」が観測史上最大規模だったことを確認した、と発表した。米国際学術誌アストロフィジカル・ジャーナルに27日、オンライン掲載された。
フレアは太陽など恒星の表面で磁気エネルギーの解放によって発生する突発的な現象で、恒星の上空に浮かぶ大気がプロミネンスとして噴出される。
研究グループは京大岡山天文台の大口径望遠鏡「せいめい」などで光の強さを調べる分光観測を行った。2020年12月19日午後11時半ごろ、400光年離れた恒星で、最大の太陽フレアの7千倍にもおよぶスーパーフレアを確認した。発生は30分間で、光の強さは最初の10分でピークに達した後、徐々に減光した。
検出したプロミネンスの重さは1兆トンで、太陽のプロミネンスの100倍以上という。噴出速度も過去に観測例のない秒速1600キロの超高速度で、重力を振り払うのに必要な速度を大幅に上回り、星の外に飛び出したとみられるという。
噴出されたプロミネンスは上層の大気や磁場をまとい、恒星の重力を振り切り周囲の惑星に届くと考えられている。
太陽の活動が地球に磁気嵐や通信障害など被害をもたらす現象は「宇宙天気」と呼ばれる。研究チームは今回、「宇宙天気の極端なケースを捉えた」とみており、「大量のプラズマなどをまき散らされた惑星の大気の組成に与える影響などを考える手がかりになる」としている。