北斎と広重の名作を"いっき見" 5月28日まで萩美術館で浮世絵特別展

 山口県立萩美術館・浦上記念館(萩市平安古町、TEL0838-24-2400)で、特別展「北斎VS広重いっき見!」が4月29日(土・祝)から5月28日(日)まで開かれる。日本文化を象徴する芸術家として国内外で高く評価されている江戸時代後期の浮世絵師、葛飾北斎(1760~1849)と歌川広重(1797~1858)の代表作「富嶽三十六景」と「東海道五十三次之内」を一度に鑑賞できるまたとない機会だ。

 「富嶽三十六景」は、北斎晩年期の作品。意表を突く奇抜な構図や、鮮やかな青色のグラデーションが見どころの藍摺(あいずり)を用いるなど、富士山を様々な表情で描きだしている。同シリーズの「神奈川沖浪裏(おきなみうら)」について同館は「日本では中世から、和歌や文学で知られる名所を定番通りに描いた『名所絵』が風景画の基本だった。だがこの作品は、名所ではない場所を取り上げ、波の形や構図を工夫することで、自然の雄大さを感じさせる風景画になっているのが見どころ」と話す。

▲葛飾北斎「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」

 一方、広重の知名度を高めることとなった「東海道五十三次之内」シリーズは、広重が35歳頃に手がけたもの。東京日本橋から京都に至る東海道の各宿を、四季の移ろいや天候の変化、旅人の様子などとともに描いた風景画は、見る人に親しみと安らぎを感じさせる。

 「富嶽三十六景」は「表富士」と呼ばれる最初に出版された36図が、「東海道五十三次之内」は宿駅53図に江戸と京都の2図を加えた全55図が展示される。
 「日本を代表する風景画家である北斎と広重の代表作を一同に展示する機会は、当館では初めての試み。両シリーズを合わせて鑑賞できる贅沢な"いっき見"を楽しんで」と同館。

 開館時間は午前9時から午後5時まで(入館4時半まで)。観覧料は一般300円、大学・高専生200円、70歳以上と18歳以下は無料。
 なお、期間中の4月30日(日)と5月7日(日)には、担当学芸員によるギャラリートークも実施される。時間は両日とも午前11時から正午までで、予約は不要。

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