就職希望者、理解深める 茨城・土浦工高が進路セミナー 119社出展「イメージ湧いた」

企業の担当者から説明を聞く生徒たち=つくば市竹園のつくばカピオ

茨城県土浦市真鍋の県立土浦工高(後藤光彦校長)は25日、つくば市竹園のつくばカピオで、就職希望の3年生を対象とした進路セミナーを開いた。県内に本社、事業所がある企業を中心に119社が出展。生徒約120人とその保護者が説明を受け、就職に向けた意識を高め、希望する企業への理解を深めた。

同校の卒業生は近年、就職が6割、進学が4割を占める。工業系の即戦力として期待され、昨年の就職内定率は100%だった。求人数は昨年、県内からが911件で、県外を合わせると2千件を超した。

同校によると、セミナーは4回目。高校単独での大規模な企業説明会は全国でも珍しいという。

この日集まったのは、大手から中小まで幅広い業種の119社。生徒たちは4回に分けて各20分間、企業のブースを回り、担当者から企業の歴史や仕事の内容、福利厚生などの説明を受けた。

企業側は「やりがいがある仕事」「学閥がなく、力を発揮できる職場」などとアピールした。つくば、土浦両市に事業所がある小型モーター製造の「オリエンタルモーター」(東京)は、これまでに同校から男女18人を採用。このうちの1人で2015年に入社した赤池広夢さん(26)は「ものづくりが好きな人に来てほしい。一緒に働きましょう」と呼びかけた。

業界によって温度差はあるものの、人材の不足感は高まっている。県南地域は東京通勤圏でもあり、来春20人程度の採用を予定する製造業の担当者は「人材の奪い合い。高校生の確保は苦労している」と語った。ライバル企業も多数顔をそろえる中、「うちの会社に興味を持ってもらいたい」と熱心にPRしていた。

生徒たちは2年時のインターンシップや企業研究を経てセミナーに臨んでいる。地元での就職を希望する池沢圭太さん(17)は「機械製造の仕事に就きたい。ネットで調べるのと違い、具体的なイメージが湧いた」と手応えを得た様子だった。同じく地元志向の山下ちひろさん(17)は「会社の雰囲気を感じることができた。就職は人生の一大イベント。怖かったけど、少しほっとした」と話した。

一般的に新卒採用者の3割以上が3年以内に辞めるという実態を踏まえ、進路指導主事の渡辺新一教諭は「キャリア教育を通し、企業とのミスマッチを減らしたい」と語った。

進学希望の生徒はこの日、大学や専門学校52校が参加した校内でのセミナーに参加した。

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