難しいダンプ路面で可夢偉が一閃。最終アタックで再逆転の7号車トヨタがFP3最速/WEC第3戦スパ

 ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで開催されている、WEC世界耐久選手権第3戦スパ6時間レースのフリープラクティス3回目が4月28日に行われ、小林可夢偉が駆る7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/可夢偉/ホセ-マリア・ロペス)が、予選を控えた最後の走行でベストタイムをマークした。

 晴天に恵まれた27日(木)の走行初日から一転、“スパウェザー”で知られるアルデンヌ地方のオールドトラックには雨が降り、予選日の日中の走行はウエット路面のなかで開始された。しかし、FP3の最中は上空から雨粒が落ちてくることはなく曇り空が保たれたことで、コース上のレコードラインはセッション中盤から終盤にかけて乾いていく状況にあった。

 前日のFP2終盤に起きた同士討ちによってシャシー交換が予定されている21号車フェラーリ488 GTEエボ(AFコルセ)を除く、計37台が出走したFP3は、開始32分後にリロウ・ワドゥ駆る83号車フェラーリ488 GTEエボ(リシャール・ミル・AFコルセ)のコースオフによるフルコースイエロー(FCY)を除いては大きな混乱なく進んだ。

 その中盤の段階での暫定トップタイムは2分14秒305で、アントニオ・ジョビナッツィがドライブする51号車フェラーリ499P(フェラーリ・AFコルセ)がこれを記録していた。40分過ぎのFCY解除後、フレデリック・マコウィッキがステアリングを握る5号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)が100分の6秒差で2番手に。
 
 アレッサンドロ・ピエール・グイディにドライバーが替わった51号車フェラーリは、この直後に自己ベスト更新となる2分14秒102で首位をキープするが、マコウィッキが2分12秒744で逆転。さらに、残り5分を切った段階でロマン・デュマの708号車グリッケンハウス007 LMH(グリッケンハウス・レーシング)が2分12秒066をマークしてトップを奪った。

 残り3分、トヨタの7号車が全セクター最速タイムで他を圧倒する2分09秒486を記録。8号車トヨタGR010ハイブリッドをドライブする平川亮が2分11秒344で続いた。これで決まりかと思われたが、最終盤に2号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・レーシング)のアール・バンバーが可夢偉のタイムを100分の5秒上回る。

 しかし、最後は可夢偉がバックマーカーを処理する際にコースを外れし、セクター3でタイムを失いながらも唯一2分09秒を切る2分08秒702でフィニッシュラインを通過。これでFP3をトップで終えることとなった。2号車キャデラックが2番手、クラス3番手には今戦デビューの38号車ポルシェ963(ハーツ・チーム・JOTA)が2分10秒434で続いた。

 マコウィッキの5号車ポルシェは終盤にコースを外れるシーンがあったが、マシンの左サイドをタイヤバリアにヒットさせた程度でコースに復帰し大事には至っていない。

 LMP2クラスはフェルディナンド・ハプスブルクがドライブし、総合3番手に食い込む2分10秒268を刻んだ31号車オレカ07・ギブソン(チームWRT)がカテゴリートップとなりった。ベクター・スポーツの10号車オレカと、ユナイテッド・オートスポーツの22号車オレカがクラス2番手、3番手がこれに続き、この2台もハイパーカークラスに混じり総合トップ10に入っている。
 
 LMGTEアマではアイアン・リンクスの60号車ポルシェ911 RSR-19がクラストップに。最速タイムはマッテオ・クレッソーニが記録した2分25秒726だ。クラス2番手は星野敏と藤井誠暢が乗り込む777号車アストンマーティン・バンテージAMR(Dステーション・レーシング)で、同3番手にはアウトラップのターン9でタイヤバリアにヒットするアクシデントがあった83号車フェラーリが入っている。木村武史組57号車フェラーリ488 GTEエボ(ケッセル・レーシング)は4番手だ。

 WEC第3戦スパ6時間レースはこのあと17時(日本時間24時)から、各クラス15分の走行時間によって決勝グリッド順を争う予選が行われる。

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