埼玉県議選告示前に飲食接待、選挙運動…容疑の78歳男を逮捕 支援の候補は当選 自身も草加市議を経験

埼玉県警察本部=埼玉県さいたま市浦和区高砂

 4月9日投開票の統一地方選県議選で、告示前に酒食接待を行い、特定の候補者への投票を呼びかけたとして、埼玉県警捜査2課と草加署は28日、公選法違反(供応買収・事前運動)の疑いで、草加市苗塚町、団体役員の男(78)を逮捕した。関係者によると、男は県議選に出馬し、当選した野党系候補の支援者だったという。

 逮捕容疑は県議選の際に、支援する候補者に当選させる目的で、告示前の3月下旬、草加市内の飲食店で、有権者10数人に対して、1人当たり数千円相当の酒食接待をするとともに、立候補届け出前の選挙運動をした疑い。県警は捜査に支障があるとして、男の認否を明らかにしていない。

 捜査2課や関係者によると、男は野党系候補の支援者で、知人10数人を集めて主導的に接待していたとみられている。

 県警は余罪の有無や接待した経緯を調べている。

■関係者「残念だ」

 男は、草加市内で福祉施設などを運営する法人理事長を務めている。同法人の関係者の男性によると、男は、地元自治体に関連した活動にも積極的に参加していたことから、地域内に広い交友関係も持っていたという。過去には同市の議員を務めていた経験もあり、公選法に抵触する行為について「そのような知識は頭にあったと思う」。

 一方、9日に投開票が行われた県議選については、野党系候補が行っていた駅前での演説に足を運ぶなど、熱心な支援姿勢だった。同日以降に行われた県警による任意聴取にも応じており、周囲に対して「そんなに心配要らない」などと話していたという。

 関係者の男性は、男の逮捕について「残念だ」とした上で「法人関係者や職員など多くの方にご心配とご迷惑をおかけしてしまい、申し訳なく思っている」と話した。

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