意図せず【リボ払い】になっていることも!クレジットカードで起こりがちなトラブル

初めまして、弁護士の竹内瑞穂( @9d7Z5fiiYzeIHGG )です。

キャッシュレス決済が浸透し、これまでクレジットカードで支払いをしなかったようなお店や金額でもクレジット決済を使用したり、スマートフォンに入っている決済アプリにクレジットカードを登録して支払いに利用したり、日常の支払いシーンでクレジットカードを利用するシーンが増えていると思います。私自身も、クレジットカードを利用して決済することが増えて、現金払いをするシーンがすっかり減っているように思います。

そんな便利なクレジットカードですが、支払方法は後払いにあたりますから、いわゆる「借金」の形式になります。借金を日常的にしていると考えると、クレジットカードとの付き合い方はよく考える必要があります。

私が扱う業務の一つに、「破産申立」というものがあります。破産申立が必要になる方は、だいたいクレジットカードを利用しています。その月にお金がなくても、翌月になれば支払えるとか、当月生活をするお金がなくてもクレジットカードを利用すれば買い物ができる、それが借金のスタートとなって、返金するあてのない借り入れが増えていきます。

ポイントがたまる、大きなお金を持ち歩くリスクを避けられるというメリットを享受することは問題ありませんが、現金で支払いができない時に、クレジットカードで支払いをするという考えは、とてもリスキーだということをお伝えします。


注意したい「リボ払い」と「分割払い」

クレジットカードでの支払いのなかでも、特に利用方法に注意していただきたいのが、リボルビング払い(リボ払い)や分割払いなどの、手数料がかかる支払い方法です。

分割払いの場合は、支払総額が増えれば月々の支払額が増え、支払回数は変動しません。一方、リボ払いの場合は、支払総額が増えても月々の支払額は変動せず、支払回数が増えていきます。

どちらの支払い方法も手数料が発生してきますが、リボ払いは手数料(利息)がとても高いため、月の返済額の設定にもよりますが、毎月設定された金額を支払っていても、元本返済は殆どされていないことが多いです。

また、元本が返済されていないことから、利息は増えていくということになります。リボ払いでの支払いを完済していない状態で、さらにリボ払いでの買い物をすれば、どんどん借り入れが膨らんでいくことになります。

例えば、月の支払いを1万円に設定して、金利15%のリボ払いの設定にした状態で、50万円分の買い物をしたとします。その場合、完済するまでに28万9,075円の利息分の支払いが発生することになります。元本の半額以上の手数料を支払うのであれば、現金払いや一括払いにして、その分旅行に行ったり、おいしいものを食べたりしたほうが、ずっと人生が豊かになったと思いませんか?

毎月少額の返済で欲しものを購入して、流行のファッションや最先端の電子機器を持つことは、確かにかっこいいかもしれませんが、賢いお金の使い方とはいえないのではないかと筆者は考えます。

契約内容を確認しましょう

リボ払いの危険性は理解しているので、自分は使わないからと安心している方もいらっしゃることでしょう。では、クレジットカードを作成するときの契約書はしっかりと確認してありますか?

カード会社によっては、一定の金額を超える買物を行うと、自動的にリボ払いの設定になる契約になっているものがあります。私の知人にも、この仕組みから、気づかないうちにリボ払いになっていたという経験をしている人が複数人居ます。契約内容はカード会社に問い合わせれば確認できますので、念のために確認しておくことをお勧めいたします。

また、リボ払いの設定をしないという選択が契約時にできるカードもあります。カードを作成する際には、たくさんある契約事項の中に、こういった規定がないかということも、きちんと確認しておきましょう。

大学生になって、初めて自分名義のクレジットカードを作る方や、社会人になって学生カードではなくなり上限額が増えたカードを持つ方もいるでしょう。始めての一人暮らし、社会人になって必要な物や付き合いが増える、自由になる時間やお金が増えて、いろいろなことに出費をしたくなる季節ですが、クレジットカードは決して魔法のカードではありません。自分が持っている以上のお金を使えることはないということを、絶対に忘れないでください。

限度額変更にご注意ください

社会人になって、収入が変動することがあります。この収入の変動について、カード会社から定期的に確認されることがありますが、この時収入が増えたということを記載すると、クレジットカードの利用上限額が上がることがあります。上限額があがったお知らせも届いているはずですが、請求書ではないカード会社からのお知らせは、宣伝かなと思って見ない、なんていう方もいるのではないでしょうか?

いつも利用上限額まで使っていても支払いに困らなかったという方は、利用上限額まではカードを使っても平気、という感覚になっている場合があります。知らず知らずのうちに利用上限額が変更されていたために、請求書がきてから支払えない金額になっていて驚いてしまう、そんなことも信じられないかもしれませんが、起こり得ます。この増額分が引き金になり、キャッシングをしてなんとか返済したり、生活費捻出のためにクレジットカードをさらに利用したり、と借り入れを膨らませて、返済不能状態に追い込まれる、そんなケースもあります。

クレジットカードが身近になり、現金と変わらない感覚で利用するシーンが増えているので、ついつい利用する側の認識も現金を使っているときの感覚に近づいているのかもしれません。持っていないお金の分まで使えてしまう、というクレジットカードならではの特性は、忘れずに覚えておいてください。

不正利用を見逃さないように

近年のカード利用のリスクとして、不正利用のことも話しておかないわけにはいかないでしょう。不正利用されたら気づくに決まっていると思いがちですが、数千円程度の使用で、頻繁に利用しているショッピングサイトと同名の場合などには、なかなか気づきにくいです。

さらに、最近では紙で利用明細が届かず、自分でネットから確認しないといけないことが殆どです。私もそうなのですが、引き落としの額だけをチェックして、利用明細はチェックしていないということが多くなっていませんか?そうすると、数千円程度の不正利用にはそう簡単に気づきません。

私の身の回りにも、とあるアプリの決済にクレジット情報を登録した15分後くらいにカード会社から数十万単位の不正利用の疑いがある請求が来ていると連絡を貰っていた方や、利用明細をチェックしたら購入した覚えのないテーマパークのチケットの購入履歴があったという方が居ます。前者は事前に防止できましたし、後者はクレジットカード会社が対応をしてくれましたが、いつもそんな風にうまくいくとは限りません。

ちょっとした金額を取り戻したいのに、弁護士に依頼する必要まで出てくると、残念ながら弁護士費用の方が高くついてしまう、そんなこともあり得ます。

もしカードを落とした、盗まれた、情報が漏洩してしまった、不正利用に気付いたという場合は、すぐにカード会社に連絡をして利用を停止しましょう。そして、カード会社の指示に従い、必要書類などがあれば提出をしてください。その際、不正利用されていた場合はチャージバックの申請方法の確認も忘れずに行ってください。その後、改めてカードの再発行を受けることができます。

ネットで利用明細をチェックするとなると、ついつい見ないでいいや、としてしまいがちですが、実は支払額が確定する前にどんな使用をしているか、いつでもチェックできるということでもあります。自分がどれだけ利用しているのかこまめに確認することは、使いすぎの防止にもなりますし、身に覚えのない使用履歴の発見にも繋がります。


便利であることは疑いようのないクレジットカードですが、利用方法によっては大きな負債を抱えてしまうこともありますし、トラブルが起きる可能性もあります。注意点やリスクを把握し、適切に利用することが大切だと考えます。

これは私自身にも教訓になってしまいますが、自分のお金の問題だからこそ、しっかり管理をしていけるようになりたいですね。

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