<金口木舌>労働者への処方箋

 2005年に公共事業の談合問題が県内で起きた時のこと。業界に対する不安が広がったためだろうか。建設業の就職者数はしばらく減少傾向をたどった

▼求職者の心理は求職活動に影を落とす。沖縄労働局によると、コロナ禍が落ち着き、22年度平均の県内有効求人倍率が3年ぶりに1倍を超えたというが、企業側で採用が進んでいない。職種によっては人手不足感が強まっている

▼これもコロナ禍の苦労が尾を引いている。沖縄労働局の職員は、談合問題で建設業に職を求める人が減った現象と重ね、「不安定に感じる職は避けたいという心理が働いているのかも」と観測する

▼最近の物価高は転職志向を刺激している。キャリアを変え、好条件を求める動きが県内でも広がっている。対応を急ぐ事業者も出てきた

▼きょうは「メーデー」。職を求めている人や新たな職を探している人は、国際的な労働者の祭典に何を思うだろう。沈んだ心に効く処方箋は賃上げと働き方改革。まさに「言うはやすく行うは難し」の類いだが、前に進めるしかない。

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